小説ボイスドラマ化 コメント返信1件 リンク追加

こんばんは、佐倉愛斗です。
この度、僕の小説「弟がブラックコーヒーを飲んでいた話」がボイスドラマ化されました!

嬉しい。ちょっと恥ずかしい。照れる。
そんなふわふわした心境です。

演技、及び音声編集は小さまにしていただきました。
間の取り方や雰囲気、声色。どれも本当に素敵で嬉しい限りです。
1人2役の演じ分けに驚くばかり。すごい……
こうして自分の作品が誰かの手によって違う媒体で発表されるという経験が初めてで、自分の作品を見つめ直すよい機会になりました。
本当にありがとうございました。



小さまのサイト→若竹庵
他の素敵なボイスドラマを聴くことができますので是非。

動画URL→https://youtu.be/iqwx0abcofs (限定公開)


コメント返信

06/28 野津征亨さま

駅の雑踏を見ていると色々と思うものがあります。出会いと別れの場であるのもまた駅ではないでしょうか。
リンクありがとうございました。僕もリンクを貼らせていただきました。これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。


リンク追加

リンクページに6件リンクを追加しました。
素敵なサイトばかりです。是非覗いてみてくださいね。

いよかん勇者。どっとこむ。下戸につき
蒼羽の宴 / Historia de la fantasía / へらりすと
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2015/06/30 (火)
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140字SS 016~020

016 愛する人の独り言

愛する人の愛したものが好きだ
好きな食べ物、好きな音楽、熱中した遊び、心地よいと思う時間、尊敬する恩師
では貴方が過去に愛した人は?
それすらも愛することができるほど、私は大きな人間なのかしら
なんて卑屈になることもないよね




017 ハイヒール・シンドローム・ボーイ

ハイヒールを履いた君は僕には届かない場所にいて
シルクのスリットから覗く伸びたふくらはぎが艶かしくて僕は喉をゴクリと鳴らした
眺めるだけの恋ならば、諦められたかもしれない
でも手を伸ばせば君はそこにいる
君に見合う人になるよ、いつかかならず




018 すれ違い

会いたいと言葉にしてみた
だけど会えないと理解していて、胸が張り裂けそうになる
なんで二人で泣いているのだろう
永久の時を僕らに




019 隠しもの

笑顔の下の強欲




020 駅

好きな人の元へ向かう電車と
自分の家へ向かう電車に挟まれたホーム




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2015/06/26 (金)
140字SS

蒼血のアフェクシオン Chapter00 蒼き血汐 04

 銃弾の雨が降り注ぐ。それは私の服を、髪を、皮膚を切り裂いた。でも私は全く避けようとしなかった。どうせ死なない、死ねないと決まっているのだから。
 私は真上に跳び上がりながらナイフをホルダーに仕舞い、まず合金でできた楔をサブマシンガンの薬室に《跳》ばし、埋め込む。使い物にならなくなったそれを投げ捨て懐のハンドガンに手を伸ばすが、時すでに遅く私は目の前に降り立ち、目が合ったことを確認すると腹に蹴りを入れ、細見でスーツ姿の容疑者を突き飛ばす。もう一人のサブマシンガンを持った若い男がハンドガンを構えるがその手と足の甲に楔を埋め込み、貫通させた。
 アタッシュケースを持った複数の容疑者が逃げる足音を察知し、まだ殺しはしないよう全員の腹腔及び臓器めがけて楔を《跳》ばす。血を吐いて倒れる者、糞尿を垂れ流して痙攣する者、状況に頭がついていかず腰を抜かす者。火薬と鉄と酸のすえた臭いが鼻を刺激する。
 倒れた男の顎を掴み、瞳を覗く。馨じゃなくても分かる。死の恐怖に怯える顔だ。
 私は悲しかった。人を傷付け殺すことを悲しいと思わない自分が悲しかった。目の前の惨状に慣れてしまった自分が恐ろしかった。
 確認した者たちの心房に楔を《跳》ばし、順にとどめを刺してゆく。そして次の楔を構えたとき、急な頭痛に襲われた。楔がコンクリ―トに落ち、その場にうずくまる。
「げぇっ……ゲホゲホ…………」
 吐瀉物でワンピースの裾が汚れた。同時に、私の中に声が聞こえるような感覚がした。誰のものかも、何を言っているのかも分からない。ただ、「彼女」が悲しんでいることだけが理解できた。
 次の瞬間、肩から赤黒い血を流すもまだ動くことのできる者が運命に抗うように私向けて発砲する。すんでのところで《跳》び、かわす。袖で汚れた口元を拭い、コンテナの上で体勢を立て直す。先程の男が逃げる足音を聞き取り、太もものナイフをふくらはぎに向けて投げた。骨が砕ける音が煩いと思った。
 もう身動きとれる者は私を除いてなかった。死を悟った瞳を順番に覗き、彼らが流す緋色の血に手を汚した。あなた方は悪くない。私も悪くない。悪いのは……

 16時50分、容疑者全員が絶命した。

***


 そして現在。
「んっ……むつきぃ、そこやぁ……」
 うつ伏せになった拓磨の孔を睦樹の指が出入りを繰り返している。
 ぐっと中を圧迫すれば拓磨は快楽に涙を流して啼いた。魔法士故の青白い肌が崇高な雰囲気を醸し出し、畏怖すら感じる。
 しかしこれは、この子は本当に拓磨なのだろうか。少女のような少年はこんなにも睦樹を惑わせる。吸い付くような白磁の肌に細い躯体。闇夜に響く擦れた声。
 もう考えることはやめよう。今は快楽の渦に溺れることにしよう。
 睦樹は一思いに拓磨を貫いた。拓磨が嬌声を上げ身体を震わせる。落ち着くまで一呼吸待つと、ゆっくりと律動を始める。
 俺には拓磨を傷付けることしかできないのだろうか、と睦樹は自問する。抱くことでしか癒せないのだろうか。心の隙間を埋めることはどうやったらできる? それでもいい。この世界が彼を殺そうとも、俺だけは彼を守る。
 そして二人は快楽の先へと果てた。弓なりになった拓磨の白い背中には、本当は羽があったのではないのだろうか。

 白でも黒でもなく、蒼い翼が。

プロローグ 蒼い血汐 完

こんばんは、佐倉です。お読みいただきありがとうございました。
これにてプロローグ完結となります。
もっとほんわかしたお話が書きたかったのにこの暗さです。お許しください。
Chapter01からはがらりと雰囲気を変えて学園ファンタジーとなりますので是非お付き合いください。
ご愛読のほどありがとうございました。

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2015/06/24 (水)
蒼血のアフェクシオン

クリエイターズマーケット +お知らせ数件

こんばんは、佐倉です。
本日はクリエイターズマーケットへ行ってきました。半年ぶりのお祭りでワクワクですよ、ええ。そりゃもう。
僕は一般参加なのでゆったり作品を眺めたり、お買い物をしていました。財布の紐が緩む緩む。あな恐ろし。
素敵なものに出会えて本当に嬉しかったです。
クリマって小説枠無いんですかね……無いですよね、はい。

購入品はこちら




素敵な作品を本当にありがとうございました。

クリエイターさまのリンク

Chocolate Cosmos* レニィレアンさま(イラストレーター)
CHALK-KARASU カラスさま(漫画家)
Kishimoto Aya Web Site きしもとあやさま(イラストレーター)
つくし日和 卯月つくしさま(イラストレーター)
ヒロコマぶろぐ ヒロ コマイさま(イラストレーター)
ポロライド じゅんたさま(イラストレーター・漫画家)
37 ミナさま(イラストレーター)
cafe-moca 本田モカさま(ハンドメイド)


企画作品紹介

企画内で僕の子のナギサくんが登場する作品が投稿されましたので紹介させていただきます。

ゆきふむれさまより

Timothy 01 02

ゆきふむれさまのお子さん、ティモシーさんとの一幕です。
僕の同居人、山葵さんの好きなアレの話です。恐らくうさぎ好きな人はツボですね。
暫く笑いが止まらなくて涙まで流していました(not誇張)
ありがとうございました!
ゆきふむれさまのサイト→へらりすと


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06/21 野津征亨さま

「装飾品」は僕の体験を一言で表したような文です。些細なものだとしても、それに「価値」が加われば桎梏になりえる。恋人に縛られた記憶そのものです。
「倫理」は倫理学の入門を学んでいるときにふと思ったものです。物の本質を問う学問はとても興味深いですね。
いつもコメントありがとうございます。嬉しいです。

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2015/06/21 (日)
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140字SS 011~015

011 手を繋ぐ

長い電車通学に疲れたのか肩で寝始めた僕の愛しい人
僕の想いなんてきっと知らずに柔らかな寝顔を晒している
起きないかな? なんて調子にのって彼の僕より小さな手に掌を重ねた
この想いを伝えても、君は隣に居てくれるだろうか




012 呼吸

叫べなかった「愛してる」を飲み込み続けて死んでいった




013 スキキライ

恋人の好きな食べ物が自分は食べられないほど苦手で、でも一緒に食べられたら楽しいだろうなと頑張って挑戦するもやっぱり舌に合わなくてグロッキーするほのぼのカップル




014 装飾品

「彼がくれた華奢なネックレスは、私を縛る大きな首輪だった」




015 倫理

人間は「善い」と「悪い」という尺度を見出だした
これを倫理と呼ぶ
果たしてそれは「善い」ものなのか「悪い」ものなのか
非常に面白いお話




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2015/06/19 (金)
140字SS

幸せな木曜日

 木曜日の夜7時。それは僕にとっての最も楽しみな時間の1つであった。しかしニューヨークに住んでいる今、時間に縛られることなく日本から送られてくる最高画質でBlu-rayに録画されたその番組を観ることができる。でもなんだか6年前のゴールデンタイム進出からの癖でやはり木曜日の夜7時に観てしまうのだ。夕食は常備菜と自動炊飯の白米と決めている。勿論テレビの前で正座待機だ。

 先日、ミカエラさんと日本の音楽の話をしていた際、うっかり彼らの事務所の話になりマシンガントークをしてしまった。男性アイドル好きな男子って可笑しいと思われたかな……何より早口でまくしたてるように言ったものだから困らせたかもしれない。好きなものの話になると止まらなくなるのは万国共通だと信じておきたいな。
 7時ぴったりに再生ボタンを押す。聞き慣れたオープニングの音にワクワクする。今日の赤い人の服はなんだろう。今日は普通の服の日か。

 がさごそ、とアマタが木製のボックスから出てきた。アマタも観る?と視線を送ってみるがお腹が空いていただけのようで、牧草であるチモシーを食べ始めた。そういえばティモシーさんにアマタのご飯の話をしたら表情筋が固まってたっけ。思い出す度にふふっと笑ってしまう。そうこうしているうちに最初のゲームが始まっていた。

 劇団で働くようになってから番組で使われる装置をよく観察するようになっていた。ボールひとつとってもロゴのシールが貼られていたり、床材をゲームごとに張り替えていたり、細かいところに電飾が有ったり。番組では編集でカットされていたが、装置転換にはたくさんの人の力が使われている。
 以前深夜特番でこの番組の制作秘話が放送されていたのだが、1番大変な転換でもわずか12分しかかからないのだという。たくさんの人が決められた仕事を完璧にこなす。キャストの安全を第1に考えた熟練された技がそこにはあった。

 今日のゲストは以前、同じ事務所の別のアイドルが共演した女優さんであった。思わず僕は「会長じゃん」と呟く。役名で覚えてしまうのも万国共通なのかな?
 とても好きなドラマだったのでよく覚えている。ドラマで使われるセットも意識して観てしまう。教室の外と内、実は別々の場所だったりするから面白い。繋がっているのに全く違う空間という状態を如何に繋がっているように見せるのか、というのも演出や美術スタッフ、そしてキャストの演技力にかかっているのだろう。舞台とはまた違った工夫がされているのだろうな。僕ももっと勉強しなきゃ。

 気付けばゲームも終盤で、はい、出ました「ナレーションベーション」。
 これもうっかり呟いてしまったためにちょっとしたひと悶着があったことを思い出す。
 演出の問題でカットになってしまったシーンのことを何気なく独り言で「ナレーションベーションかー」と呟いてしまった。そのときは誰も反応せず過ぎていったのだが、打ち合わせ終わりに珍しくアネシュカさんに話しかけられたのだ。
「あの、その、ナギサさんまだ英語は不慣れですか?」
「うーん、まあまあ話せるようにはなってきたかもしれませんが、まだまだです」
「その、ナレーションベーションではなくてですね、ナレーションベースだと、思うんです。し、失礼なことをいきなりすみませんっ」
 あ、と思い出す僕。これ某アイドル用語だった。
「ああ、ごめんなさい。聞かれてしまいましたか、お恥ずかしいです。日本のアイドル用語なんですよ」
「ひ、ひい! そうとは知らずすみませんでした」
 涙目で何度も頭を下げるアネシュカさんに僕もどうしたらいいのか分からなくなって何度も頭を下げた記憶がある。様子を察したノエルさんに「Oh、私これ知ってるわ! 日本の『ししおどし』って言うのよね」と言われてしまった。近くにいた土橋さんに全力で否定され「じゃあ『赤べこ』?」とも言っていたがどこでそんな日本語を覚えてきたのだろうか。
 LBさんの「煩い」の一言でなんとか事態は収束したけれど周囲の皆様にはご迷惑をおかけしました。

 ニューヨークに来たばかりは不安でいっぱいだったけれど、今となっては楽しい思い出がいっぱいだ。来てよかったと本当に思う。素敵な仲間と残りの時間を有意義に使いたいな。間違っても番組の最終ゲームのようにやらなきゃよかった、なんて思いたくはない。
 よし、今からクッキーでも焼こうかな。
 明日が楽しみって幸せだね。



こんばんは、佐倉です。スタスペ企画ワンライに参加してみました。
Twitter上で話していた小ネタをたくさん詰め込んだようなお話です。アイディアありがとうございます。
よその子さまを登場させるという経験が初めてでドッキドキです。キャラ崩壊してましたらすみません。
これからも楽しんでいきますよー! よろしくお願いいたします!
本家サイト→STAR SPECTACLE

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目次

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2015/06/18 (木)
企画 STAR SPECTACLE

旅立ちのサイダーゼリー

 今日こそ、今日こそ言わなきゃ。
 僕は焦げ付かないようゼラチンと水で伸ばした手作りの梅シロップを煮ている鍋の中身をゆっくりと木べらでかき混ぜながらそう心を固めていた。
 カウンターキッチン越しに見えるテレビには先日発売されたばかりのアイドルのコンサートDVDの映像が映っている。あ、最近はBlu-rayになったんだった。画質が格段に綺麗になってムービングステージを動かすスタッフの姿まで鮮明に映っている。光と水と炎が舞い、音楽と共に画面の中の彼らをよりカッコよく、美しく、華麗に演出する。この世界に、僕はずっと憧れていたんだ。
 板ゼラチンが完全に溶けたことを確認して火を止め、ステンレスの浅い容器に移す。あとは粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やし固めて、それからは零くんが来てからのお楽しみだ。ちょうど洗濯機も止まったことだし洗濯物を干そう。窓から見上げた空は真っ青に晴れていて遠くに大きな入道雲がそびえていた。8月も終わるというのに今日も猛暑日になるという。
 バスケットボール部の夏季選手権大会を最後に引退した零くんは今日も夏季補習がある。こんなうだるような暑さの中で補習を受けても頭に入らなかった記憶しか僕には無い。でも零くんは僕の通う美術大学の近くにある工業大学に入りたいって頑張っている。頑張れ受験生、と僕は陰ながら応援しているのだ。真っ白に洗い上がったシャツが風に揺れるのを見て、僕は終わりそうにない夏の終わりを寂しげに感じていた。

 昼過ぎ、マンションのドアベルが鳴った。心もち緊張して玄関を開けると予想通り、僕の最愛の人、相原零(あいはられい)くんだった。
「零くん、補習お疲れ様」
「うん、渚ありがと。んあー外めっちゃ暑かった。死ぬかと思った」
 制服のシャツが汗でぐっしょりとして少し透けている。黒いストレートの髪も頭から水を被ったみたいにびたびただ。
「零くんシャワー浴びたら? 着替え出しておくよ」
「ありがとー。じゃあお言葉に甘えて」
 靴を脱いだ零くんはまず教科書の詰まった鞄をリビングに置くと、キッチン横の脱衣所に向かった。その間に僕は寝室のクローゼットから零くん用のTシャツと下着とハーフパンツを取り出す。
 出会った頃、零くんがまだ高校1年生で僕が高校3年生のときはまだ僕と同じくらいの背丈だったのにあっという間に抜かされて、今じゃ15センチも違うのだ。背中も広くなったし、腕も逞しくなった。再会したあの日からもますます男らしくカッコよくなる零くんにドキドキしてしまう。半年後にはあの零くんが大学生になるのだから驚きだ。そう、半年後には……
 シャワーの流れる音がしたのを確認して脱衣所のカゴの上に着替えとバスタオルを置く。そしてさっき作っていたお菓子の続きを作りにかかった。

「渚、シャワーありがとう」
 キッチンに立ってネギを刻んでいると、零くんが脱衣所から出てきた。首にタオルをかけてさっぱりした様子の零くんから僕と同じボディーソープの匂いがする。ちょっと嬉しい。
「零くん、お昼まだだよね? ころうどん作ったけどどう?」
 言ったそばから零くんが目を輝かせて、食べる! と元気よく返事をする。よっぽどお腹が空いていたのだろう。可愛いんだから全く。
 茹でたうどんを流水でしめて、ネギとすりおろした生姜と刻み海苔をトッピングして冷たい麺つゆをかける。半熟卵を乗せるのが僕流。それと今日はピーマンと茄子が安かったので天ぷらにしてみた。零くんがお肉も食べたいだろうと思って鶏肉で柏天も作ってある。
 向かい側に座った零くんと各々手を合わせていただきます、と言った。零くんはなんでも美味しそうに食べてくれるから作り甲斐がある。ネギと生姜が絡んだ冷たいうどんを勢いよく啜る姿を見るとこちらまで幸せになるのだ。一方僕はつゆに浸した天ぷらの衣がすこし柔らかくなるのが僕のお気に入り。崩した半熟卵の滑らかな黄身と麺を絡ませることを思いついた人は偉大だと僕は思う。

「ふーっ、ご馳走さま」
「お粗末様でした」
 大盛りの天ぷらまで平らげて一休み、僕はデザートに先程作っていたお菓子を取りに冷蔵庫に向かう。細見のグラスに崩した梅のゼリーを入れて冷やしておいたものに、仕上げに甘いはじけるサイダーを注いで出来上がりだ。太めのストローをさし、コースターを敷いてダイニングテーブルに乗せた。
「デザートに梅のサイダーゼリーだよ」
「へー、美味しそう」
 一口飲むと滑らかなゼリーの食感と梅の香り、しゅわしゅわと舌を刺激するサイダーに幸せなはずなのに、すこし寂しく、センチメンタルを感じてしまう。これが最後の一緒の食事になるのだから。
「ねえ零くん、あのね」
 ちゃんと言わなきゃ。そう決めたのになかなか言葉が出ない。零くんが神妙な顔で僕を見つめる。彼の瞳に映る僕はとても悲しげに見えた。
「僕、アメリカに行くんだ」
 えっ、と零くんが首を傾げる。
「んと、旅行か何かで行くの?」
 一応確認してはくるが、僕の表情からそうではないことぐらい彼には伝わっているらしいことが声色から察せられた。
「ううん、留学するんだ。ずっと前から決めていて、ミュージカル劇団の舞台装置や美術の勉強をしてくる」
「そっか……どれくらい?」
「は、半年」
「っ!?」
 零くんの表情がこわばる。ストローを持つ手が止まり、大きく目を見開いて僕を見つめた。
「明後日の飛行機で向こうに行くんだ。急にこんな話してごめん」
「いくらなんでも急すぎるよ……ごめん、どう返していいか、分かんなくて」
 零くんが今にも泣きそうな顔で俯く。僕は立ち上がって零くんの椅子の横にしゃがみ込んで手を握った。
「僕はね、零くんと会えなくなるのは嫌だよ。きっと寂しいし、恋しくて涙を流す日があるのかもしれない。でも2度と会えない訳じゃないよ。それに僕の夢を叶えるために勉強したいんだ。とても素敵なチャンスを掴んだと思う。僕の挑戦を、応援してはくれませんか?」
 目をしっかりと見て、そう伝える。零くんは流れる涙を腕で拭うと、うん、とだけ返事をした。
 僕は立ち上がって、子供みたいに泣きじゃくる零くんを抱きしめた。いくら身体が大きくなっても、泣き虫の零くんは零くんのままだ。背中をポンポンと叩き、落ち着くまでそのままでいた。

 僕たちは、お互いを離すまいと求め合った。
 肌の温もり、香り、声、質量。全部を忘れないために。

 ベッドで座りながら、すっかりぬるくなってしまったサイダーゼリーを飲んだ。横で泣き腫らした目で眠る零くんの髪をそっと撫でる。
「僕だって、不安だよ。寂しいよ」
 ぽろぽろ流れ落ちる涙がシーツに染みを作る。
 夕立が上がった黄昏の陽射しが窓から僕らを茜色に染める。ニューヨークの夕空もこんなに赤いのだろうか。風の匂いも、雲の形も、月の色も、同じなのだろうか。
 不安と期待が心の中で淡く弾けた。

「零くん起きた?」
「んあ? うん、一応」
 あたりはもう真っ暗で、夏の終わりを告げる虫たちが心地よい音色を奏でていた。
 眠そうに黒いさらさらとした髪を掻き上げる零くんの愛らしさにふふっと笑ってしまう。
「あのね、零くん。今は全世界、どこにいても繋がれるんだよ」
「そうなの?」
「ニューヨークに行ってもいっぱいテレビ電話するからね」
「うん、渚、待ってるよ。頑張って来てね。オレ、応援するから」
「ありがとう、零」
 自然と唇を重ね、僕たちは笑った。
 笑っていればきっとうまくいく。
「好きだよ、渚」
「僕も大好きだよ、零」
 未来を信じたって、いいよね。

 そんな僕の、旅立ち前のお話。


お読みいただきありがとうございます。佐倉です。
企画本編前に日本での様子を描いてみました。ナギサくんってこういう子です。
恋人の相原零くんと渚くんのラブストーリーが僕の処女作でした。何年前? 5年くらい前ですかね。また企画という形でこの子を描くことができて本当に嬉しいです。
真面目で、強がりで、ちょっとどこか天然な、そんな可愛らしい子です。どうぞ可愛がってやってくださいね。
企画主催者さま、並びに参加者さま、素敵な物語にしていきましょうね。よろしくお願いいたします。
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2015/06/18 (木)
企画 STAR SPECTACLE

蒼血のアフェクシオン Chapter00 蒼き血汐 03

 私は第2ビルの屋上に出た。日が柔らかに傾いて、まだ冷たい風が強く吹き付ける。膨らんだワンピースの裾が大きく揺れ、若草色の柔らかい髪が頬を撫でた。
 コードレスのイヤホンを外すと、私は小さく息を吐いて目を閉じた。私の生まれついての高度かつ最高の知覚魔法。並外れた聴力と空間把握力。風の響く音が鮮明に脳内に地図を描き出す。
 目標地点、第3通行口西倉庫。目標までの直線距離、17.34キロメートル。障害物なし。
 今日はやはり桜の花音が煩い。
 イヤホンを耳にはめ直すと、私はビルから飛び降りた。
 私は自由落下の中で自らの位置を書き換える。私だけの理。物体の位置を知覚できる範囲で変更する魔法。目を開けると11キロメートル先の上空300メートル、その次の瞬間には西倉庫の屋上の上に降り立っていた。
 屋根に耳を当て、中の様子を窺う。人数は合計6人。ハンドガンを全員が携帯しており、うち2人はサブマシンガンを持っている。そしてアタッシュケースを持っているのが2人。様子からしてまだ取引相手は来ていないようだ。
「主任、現場に到着しました。容疑者は現在6名。うち2名がアタッシュケースを保持している模様」
 イヤホンに内蔵されているマイクボタンを押しながら伝令を送る。
「羽鳥くんお疲れさま。予知ではあと4人来るはずだからそのまま待機していてください」
「了解」
 マイクボタンを切り、周囲の物音に耳を立てる。公園で遊ぶ子供の声、夕食の準備だろうか包丁が規則的にまな板に当たる心地よい音、非日常と隣り合った日常の音。
「うっ……」
 急な吐き気がこみ上げ、締め付けられるような頭痛が襲う。脈の音が煩く、息が苦しかった。深呼吸をして一時的に聴覚をシャットアウトする。
 耳にはめたこのイヤホンは通信機能の他、羽鳥拓磨の魔力を抑えるためのリミッターでもある。耳から入る多くの情報は脳で選別され必要な情報のみを知覚することができるようになっている。人ごみの中で会話できるのもこのためだ。しかし私の聴力はその脳の機能を超えてしまった。多過ぎる情報の波に呑まれないようこのイヤホンは拓磨を守る重要な魔具であるのだ。
 一度首を回してリラックスする。そしてもう一度耳からの情報を辿る。南方からこちらに向かう車があった。全員とコンタクトを取るために彼らが到着するのを待った。
 そして16時45分、倉庫の中は合わせて10人になった。
 私は倉庫の中へ《跳》んだ。

 カタリ、とコンテナの上にヒールの降り立つ音が倉庫中に響いた。倉庫内の男たちが一斉にこちらを向く。あまりにも場違いなロリィタ姿の少女の登場に男たちは首を傾げながらも銃を構えた。
「治安部特務魔法科です。あなた方を違法薬物所持及び取引の容疑で拘束、いえ、殺害させていただきます」
 私は全員に聞こえるよう語気を強め、声を張った。
 しかし男たちは銃を下ろし、下種な笑い声を上げた。
「おいおいお嬢ちゃん、そんな物騒な冗談言うんじゃないよ。どこから入り込んだのかい? 治安部のエリート様がわざわざいらっしゃるわけがない。そんなか弱い姿をして殺すだって? そんなことをして俺たちの運命を変えるのはお嬢さんところの巫女さんが許さないんじゃないのかい」
 まるで信じない口ぶりで笑う大柄で取引先のボスであろう男の前に刹那《跳》びこみ、顎を蹴り上げる。初めて見たであろう瞬間移動に彼らは度肝を抜かれ、反射的に私を取り囲むように銃を構えた。
 私は尻餅をついて私を見上げる大柄な男に見せつけるように脚のナイフを抜くと、自らの頬を薄く切る。蒼い、闇夜より蒼い液体が頬を伝うのが窓から射す夕日に照らされた。
「言ったでしょう。私は『特務魔法科』だと。この蒼き血を見てもまだ分からないかしら。それに安心なさい。あなた方の死はちゃんと巫女さまのお導きによるものですから」
 にっこりと微笑むと、男たちは抗うように一斉に私に向かって発砲した。無駄なことなのになぁ。



こんばんは、佐倉です。お読みいただきありがとうございます。
いつも拍手・感想ありがとうございます。
本来ならば当サイトはブログベースなのでコメント機能が備わっていますが、勝手ながら閉じさせていただいています。
右下の拍手ボタンまでよろしくお願いいたします。

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2015/06/17 (水)
蒼血のアフェクシオン

コメント返信1件 企画作品紹介2件

おはようございます、佐倉です。まとめての連絡になってしまいすみません。
楽団の練習や原稿など、何かと忙しく過ごしておりました。ほぼほぼ寝ながらTwitterしていたとかそういうのは見逃してください。
という訳でお知らせ数件です。


コメント返信

06/14 野津征亨さま

僕の方こそこのような私的な話を長々としてしまい申し訳ございませんでした。
いつかは話さなくてはならないのだと思っていたのでよい機会になりました。ありがとうございます。
企画のことですがよろしければご参加ください。
主催者さまに連絡をすれば参加可能だと思いますので是非どうぞ!
いつも訪問ありがとうございます。これからもお付き合いのほどよろしくおねがいします。
返信が遅くなってしまいすみませんでした。


企画作品紹介

企画内で僕の子のナギサくんが登場する作品が投稿されましたので紹介させていただきます。

みれいさまより

CHilyZXUMAAr5e5.jpg
みれいさまより、みれいさまの子のウォンさんとナギサくんの一幕です。
口説かれてたじたじになるナギサくんを描いていただきました。
こんな綺麗な人に口説かれたらドキドキですね。でもナギサくんには恋人がいるというw
ありがとうございました!
みれいさまのサイト→深莉さんの手書きブログ


涼川さまより

聞いてくれ、例のブツを実食したんだ。前編 後編

実話を元にして書かれたお話だそうですが、皆さん生き生きとしていてひたすら楽しい小説でした。
何かと奔走するナギサくんが可愛い。可愛い。(親バカ)
しっかりとキャラクターの特徴を掴んでいて、書いていただけて本当に嬉しいです。
是非読んでみてくださいね。
ありがとうございました。
涼川さまのサイト→Historia de la fantasía


この先も自キャラの登場作品をこうして紹介させていただくと思います。
一応公式イベントはしない予定ではいます。
素敵な作品ばかりですので是非ご覧になってくださいね。
※作品の無断転載はお断りしておりますのでご了承ください。
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2015/06/17 (水)
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一村くんは数学的天才ではない 小ネタ集 2015/05

2015.05.11

現在連載中の「一村くんは数学的天才ではない」の一村くん
特進クラス理系学年トップ
クールでもっさい黒髪の美形
近寄りがたい雰囲気だけど照れると首まで真っ赤になって可愛いのです
語らせると案外熱い、静かに激しく燃えてるイメージで書いてます
マゾい
歴代キャラの中で一番性癖拗らせてるのはコイツだなってしみじみ思う
初のNLなのになんてことだ

お相手の春子は優しすぎるというか怒らなさすぎるというか寛容というか……友人の優希が代わりに怒ってくれるから成立してる
でもちゃんと考えてる、芯のある子だと思って書いてるよ
身長は156cmくらい
天然パーマ
全体的に柔らかい(主に胸が)

主人公の親友の優希はしっかりもの
頼れる姉御肌を通り越すと女王
なんだかんだ春子大好きだよね
ガリ勉特有のどこかしらの常識のヌケがある
身長は162cmくらい

優希「よしよし、私の胸で泣きなさい」
春子「……固い」
優希「んん?」
春子「いだいいだいヘッドロックは止めで」

頼れるスレンダー美少女と可愛いゆるふわおんにゃのこの組み合わせが好きすぎて書いてて楽しい

優希は多分弟がいる
姉に虐げられる弟の図が見える
登場するかは分かんないけど


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2015/06/15 (月)
一村くんは数学的天才ではない

コメント返信1件 いただきもの2件

こんばんは、佐倉です。
企画参加やワンライなど、さまざまなことに挑戦した1週間になりました。
充実していますねw

まず拍手コメントをいただきましたので返信させていただきますね。

にゃあ。さま

好きと言ってくださって本当に嬉しいです!!!
イラストの件ですが是非描いてくださいまし。
Twitterで話した通りによろしくお願いしますね。
とっても嬉しいです。ありがとうございました!!


そして僕の描いたイラスト(線画)を着色していただいたので紹介します。

蒼紅命さまより


可愛い。ああ可愛い。淡い色使いが素敵ですね。
僕の要望通りに塗っていただけて本当に嬉しいです。
本当にありがとうございました!
蒼紅命さまの小説サイト→鋼兵記メタルウォリアー

どんさまより


アマタが山葵さんカラーだ!!!!!(大興奮)
DMにて送ってくださって本当に嬉しかったです。
ありがとうございました!


お二方とも素敵に塗っていただけて本当に嬉しい限りです。
スタスペ企画でもどうぞよろしくお願いいたします。

さて書くぞーーー!(原稿の山)



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2015/06/14 (日)
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月の恋涙

「もうっ、あんなやつなんてしーらなーい」
 いつもは飲まないほどにアルコールを身体に流し込んだ私は、おぼつかない足で帰路に着いていた。涙を拭う手でアイラインはよれてしまったけれど、最近のマスカラは全然落ちやしない。うん、優秀。そんなことを考えてしまうほど私の頭は酔っているようで冴えていた。
 まだ、掌がじんじんと痛む。でもアイツの頬を叩いたのはお昼過ぎ。今はネオンが煌めく真夜中だ。錯覚、痛みの記憶かもしれない。あれだけ喉が痛くなるようなお酒を流し込んだのにまだ忘れられない。
「あー、宇宙人になりたーい」
 人目も憚らず叫んでしまった。他の通行人が奇異の目でぎろりと見るが、知ったことじゃない。宇宙人にでもなれば忘れられる気がするのだ。宇宙人なら恋なんてしない、という勝手な思い込みだ。
 その中で、クスリ、と笑う声がした。声がする方を見るとひとりの女性が道路沿いの電柱の下に座りこんでいた。
 私が立ち止ったことに気付いたのか顔を上げた女性の頬には涙の跡があった。
「お姉さんどうしたんですかー? 具合でも悪いの?」
「私もね、ここで座っていたら猫になれる気がしていたの」
「猫さんかー、嫌なことあったのかにゃ?」
 手を差し出すと、よいしょ、と女性は私の手を取って立ち上がった。
「そういう貴女もあったのでしょう?」
「まあねー」
 不意に止まっていたはずの涙がまた溢れる。子供っぽく声を上げて泣いてしまう。お姉さんが背中を擦ってくれた。
「よし、では宇宙人と猫になるべく高いところに行きましょう」
「ほへ?」
 そう言うとお姉さんは私の手を引いて歩き始めた。

 到着したのは、繁華街から少し離れた閑静な住宅街にある公園だった。ネオンの輝きに隠れていた大きな満月が私たちを照らす。そしてお姉さんと私は滑り台の一番高いところに座っていた。
「それでね、アイツったら私に可愛くないだのウザいだの言って別れようって言ったの」
「うんうん」
「私は、好きだったのに……向こうから好きだって言われたから信じたのに、うわぁあん」
「どうどう」
 自販機で買った天然水を飲みながら名前も知らない彼女と身の上話をしていた。
「酷いとは思わない? 私は信じてたのに」
「酷いこと、言われたね」
 お姉さんの目にまた涙が滲む。月の光に照らされて魔法の水みたいに輝いている。
「お姉さんは、何があったの?」
「その、貴女には言いづらいんだけど、彼氏に別れを告げてきたの」
「えっ?」
「私も彼のこと好きだと思っていた。でもサークルの合宿でね、彼と全く連絡も取らない日を送ってみたら、彼のいない生活がどれほど心落ち着くものか気付いてしまったの」
 返す言葉も見つからなくて、お姉さんの抱えた膝を見ると、いくつかの青痣ができているのを見つけてしまった。
「恋の魔法って、溶けると痛いのね。麻酔が解けたみたいに今までの痛かったことや苦しかったものをいっぺんに思い出して、自覚してしまう」
「お姉さんは別れてよかったと思う?」
「世間的には別れて正解なんだと思う。DVからは逃げて当然じゃない? でも私は……」
「それでも、好きだったんだね」
「うん、好きだった。でも、本当は依存していただけだった。寂しいなぁ」
 彼女の傷ついた笑みが痛かった。私には隣にいることしかできない。
「今日はありがとうね、お姉さん。私、宇宙人にならなくても大丈夫だよ。だって今日、お姉さんと話せて楽しかったもん。あー、なんか吹っ切れちゃった」
「ふふ、私もよ。自分に正直になれたもの。猫にはなれなくてもいいかな」
 初めて見せたお姉さんの笑顔は月の精みたいに美しくて。
「月が綺麗だね」
「あら、それ、アイラブユーの日本語訳?」
「ち、違うもん。でも、お姉さんのこと好きだよ」
「ありがとう、私もよ。そういえば忘れていたわね。はじめまして、近藤美波です」
「はじめまして、私の名前は――」
 月夜に始まる不思議な物語。



こんばんは、佐倉です。深夜の1時間真剣創作文字書き「ワンライ」に挑戦してみました。
土曜の夜は私用のため別の時間に書いて予約投稿してます。すみません。
キッチンタイマーで1時間計って書いてみたのですが、案外時間に余裕はありました。短いですからね。
今回のお題の中から「はじめまして」「月夜」をメインに書いてみました。「シュガーシュガーハッピー」にしては胸が痛いです。
深夜の1時間真剣創作文字書き版、ワンライ創作公式→Twitter/ルール


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2015/06/13 (土)
短編集

140字SS 006~010

006 冬の夜語り

並んで寝転びながら自分の想いや信念を語り合う
ほんの少し暖かくて寒い夜
窓から見える氷柱が街灯でキラキラして
愛しさで包まれるこの幸福感
朝がやって来るのはもう少し先のこと




007 肌の記憶

貴方と身体を重ねた次の日は風呂に入れない
貴方に触れられた記憶が泡となって解けてしまうようで怖いから
肌に貼り付く気泡が触れると貴方より熱い湯の中に離れて浮いて消える
貴方の体温と香りと質感が消えてしまわないよう僕は震える自分を抱き締めた
「お願い一人にしないで」と闇夜に呟いて




008 痛みを抱きしめる

「死ぬこと以外掠り傷」と彼女は言った
でも痛くて痛くてたまらない
毎日血を包帯に滲ませて
それでも残酷に「生」は在り続ける
瘡蓋になったから彼女は笑って言ったのだろう
痛みは忘れても消えやしない




009 甘い赤

恍惚とした痛みを頂戴な
白い水で犯されて
赤い花弁を散らしましょう
貴方にこの深紅をあげる
甘い、甘ァい、この赤を




010 溜め息

「はぁ……」と重く吐き出した息は白くなり
冬の街はキラキラと暗く輝いて
私は貴方と手を繋ぐことも許されずに三歩後ろを歩いた
どうして口付けを交わしてしまったのだろう
熱い頬が冬の夜風に嫌に意識させられる
立ち止まると彼は息を吐いた
貴方の溜め息の理由が、私と同じものならいいのに

覚えているかな、なんて初夏の夜に微笑んだりするものです

今でも思い出して涙が流れるのはまだ思い出になっていないからだろう
昨日のことのように思い出すんだ
胸が張り裂けそうになる
でも、思い出になったらちょっと寂しいかもしれない




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2015/06/12 (金)
140字SS

企画 STAR SPECTACLE

舞台は現代アメリカ。都会の喧騒に負けない最高にアクの強いメンバーが集まるミュージカル劇団スタースペクタクルは、更なるパワーアップを目指して日々練習に励んでいる。知る人ぞ知るこの劇団は年に2回ほど公演を行っており、チケットは毎回F5キー連打必須となっている。 (本家サイトから引用)


企画概要

大豆さま(Twitter/サイト)企画の劇団物語。さまざまな人が集まる劇団のお話が漫画・小説・イラストなどを通して作られていきます。
本家サイト→STAR SPECTACLE


応募キャラクター

  • 希望職種:スタッフ(大道具・美術スタッフ見習い)
  • 名前:ナギサ・サカモト(酒本渚)
  • 性別:男
  • 年齢:20歳
  • 画像(容姿):
    ふわふわの色素薄めな髪と瞳に可愛らしい顔で癒し系。身長は164cmと小柄。細いけれど筋肉はしっかりとある。
  • 出身地(or人種):日本・愛知県

  • 自己PR:
    日本から大道具・舞台装置の勉強をするため留学してきた男子美術大学生。大学ではデザイン専攻。英語は生活に困らない程度に話せる。
    可愛らしい笑顔でほんわかした雰囲気の持ち主。お菓子を与えると何かキラキラしたものが出る。若干天然で周りが放っておけないタイプ。しかし仕事となるととても真面目でストイックで賢い。家事が得意で女子力が高い。高校時代はバスケ部だったため簡単なマッサージもできる。
    好きなものは男性アイドルで、ファンクラブに入っておりよくコンサートや出演舞台へ行く生粋のドルヲタ。アイドル話になると煩い。将来は好きなアイドルのコンサートに携わりたいと考えている。
    日本に男性の恋人がおり、一日の作業が終わると国際電話をかけている。
    女の子に対してすごく人見知りをするが、いい人だと分かると料理や恋の話で盛り上がる。

    一人称・僕 二人称・○○さん

    「日本からやってきました、ナギサです。お会いできて光栄です」
    「アメリカってなんでも大きいんですね。お肉買い過ぎちゃったのでよかったら家に食べに来てください」
    「好きな人ですか?……えへへ、ナイショです」

    【追記】アメリカで暮らすようになってからうさぎを飼いはじめた。
    名前は「Amata」日本語ではたくさんの、ラテン語では恋人という意味であり、たくさんの人との出会いと経験に期待し日本にいる恋人のことを想う気持ちが込められている。日本人にはアマタ、欧文圏の人にはアマータと呼ばれる。



投稿作品

イラストレーション




小説

旅立ちのサイダーゼリー 渡米前の恋人との一幕
幸せな木曜日      ワンライ第1回/好きなもの
チャイニーズガール?  ワンライ第3回/ウォンBirthday
宝物いっぱい      ナギサBirthday


小ネタ集

2015年|06 07 08 09



登場作品

ナギサくんが登場する作品です
書いて(描いて)くださりありがとうございました
※お持ち帰りは作者さまの許可を必ず得てください

イラストレーション




小説

聞いてくれ、例のブツを実食したんだ。前編 後編 涼川さま(Twitter/サイト)


漫画

Timothy 01 02 ゆきふむれさま(Twitter/サイト)


掲載作品は企画参加者さまのみ転載可能です。
その際、当サイトへのリンクをお願いいたします。(報告は任意です)

本家サイトさまのルールに従い、企画者さま、他の参加者さまにご迷惑をおかけすることのないように配慮して楽しみましょう。


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2015/06/11 (木)
novel

蒼血のアフェクシオン Chapter00 蒼き血汐 02

 僕はシャワーを浴びて若草色の柔らかい髪を乾かした。
 「魔法使い」そう呼ばれる人間がこの世界にはいる。物理法則を超え、知覚し、動き、変化させる力を持つ者だ。そして生まれつき強い力を持つ魔法使いは髪や瞳の色が特異なものになるという。僕のように。
 下着だけを身に着けて、僕が住むアパートの一室である衣裳部屋へと向かった。
 大量のドレスワンピースがハンガーにかけられ、靴箱には数十足の靴が綺麗に陳列されていた。反対側の壁には格子状の鉄枠に滅多に使わない細見のスナイパーライフルとオートマチックピストルが。その下のガラスケースには数本のナイフと銃弾、そして合金でできた銀色の長さ10センチほどの「楔」が大量に仕舞われている。
 僕は白いストッキングを脚に通し太もものあたりでガーターベルトに挟み、ゆっくりとした動作でブラウスの丸ボタンを留める。たまたま目に入った白いワンピースを身に着け腰回りの編み上げになったリボンをきつく締め、下にパニエを履く。そして合わせるように若草色のショート丈の編み上げのブーツを選んだ。
 衣装部屋の奥にある大きな木製のドレッサーの前に座ると、薄くチークと真紅の口紅を引いた。
「あなたは誰?」
 鏡を前にして、そんな言葉を呟いた。
 そこにいるのは僕であり僕ではない。特務魔法士の羽鳥拓磨と呼ばれる「少女」が鏡の中で微笑んでいた。
 最後に太ももに革製のベルトを取り付け小型のナイフを挟み、大量の楔を収めた袋を取り付けた。

 そして、「私」は《跳》んだ。

 時刻1620、事件発生予測時刻30分前。私は国務機関ポラリス第2ビル治安部特務魔法科本部にいた。
「予知された事件は先程伝えた通りです。地点は分かりますね?」
 治安部特務魔法科現場運用主任の飯田馨がまるで何事でもないような、ゆったりとした口調で告げた。
「第3通行口西の倉庫ですよね」
「そう、そこで違法薬物が取引されるとの北辰の巫女さまが予知なされた」
 そんな小さなことまでお見通しとは、巫女さまとやらは余程暇なのね、と心の中で悪態をつく。
「羽鳥くん、君の考えは私には視えていますよ」
「すみません、主任」
 小さく舌打ちすると、馨に悪意のこもった笑顔を向けられ、背筋に冷たいものを感じた。
 主任である飯田馨は「目を合わせた相手の感情を読む魔法」を得意としている。丸い金属製のフレームの奥でしっとりと光る葡萄色の瞳が私の内部を暴こうとする。彼が言うには「目は口ほどに物を言う」そうだ。
「それで主任、私は何を?」
「今回の作戦は私も参加します。羽鳥くんは犯人全員を捕縛し容疑者の目を見てください。私は羽鳥くんの視覚を介して容疑者から情報を収集します。その後、薬物を速やかに回収してください。それと……」
 馨が口ごもる。大体こういう時は決まっている。
「巫女さまによれば容疑者は全員死亡、と予知されている」
 馨は言わない。私に「殺せ」と。
 それでも容疑者が死亡と「巫女さまが」いう限り、運命の辻褄は合わせなくてはならないのだ。きっと彼女は容疑者の死亡する時刻も、死因も、全て「覚えている」。
「それでは羽鳥くん、無事を祈ります」
 私が死ぬことはあり得ないのだけれど。



こんばんは、佐倉です。お読みいただきありがとうございます。
ゆっくりペースの更新ですがお付き合いいただけると幸いです。
ではまた来週まで。
拍手・感想ありがとうございます。

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2015/06/10 (水)
蒼血のアフェクシオン

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こんにちは、佐倉です。
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2015/06/10 (水)
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コメント返信 1件

こんばんは、愛斗です
拍手コメントをいただきましたので返信します

野津征亨さま

拙い文章ですが楽しんでくださったようで嬉しいです。ありがとうございます。
野津征亨さまの小説を拝読しました。ひとつひとつの言葉に味があり、とても趣深いですね。
足跡を残してくださりありがとうございました。

さて、僕の性別ですが、少々ややこしいので長くなりますが説明させていただきます。

僕はFtMと呼ばれる性別です。
性同一性障害、トランスジェンダーという言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないかと思います。

生まれの性別は女性でした。
しかし幼いころから「自分は女の子ではない」という漠然とした認識がありました。
小学生くらいになるとその感覚が顕著に表れ「男の子になりたい」と思うようになりました。

でも僕は、男の子にはなりませんでした。
女の子の姿で、女性として生きる選択をしました。
自分のことは女性の皮を被った男性だと思っています。

なので男性でもあり、女性でもある。そんな不思議な性別で生きています。
公的な場では女性、顔の見えないネット上や僕のことを知っている人の間では男性として振る舞っています。

僕が初めてBLに触れたのは男友達からの勧めでした。
BLは女性向けと称されることも多いですが、読み手も書き手も性別は関係ないと僕は言いたいです。

どんな性別の人でも恋をする可能性はある。(勿論可能性の話なのでしない人もいます)
様々な性と愛のカタチを描きたい。
そんなコンセプトで物語を作っています。

僕の性別についてはとても理解しがたいことだとは思います。混乱させてしまったのなら申し訳ありません。

腐男子、ということで大丈夫ですよ。
見た目は女性ですけどね(笑)

長々と失礼しました。



あまり話したことない話でしたねw
創作する上では自分のことはあまり話さないような人です
僕のことを知った上で作品を好きだと言っていただけたら……そんな絵空事を言ってみたくなりました
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2015/06/09 (火)
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一村くんは数学的天才ではない 登場人物

檜野春子(ひの はるこ)

156cm 53kg 4月24日 高校2年特進クラス文系コース
得意科目:古典 不得意科目:数学・体育

優しくてお人良しな性格
理解するのが遅く事態を飲み込むのに時間がかかるため、たまにオーバーヒートする
思ったことがすぐ口に出てしまう
天然パーマのゆるくウエーブした髪をいろいろとアレンジするのが好き
全体的に柔らかい(主に胸が)


一村夏目(いちむら なつめ)

172cm 60kg 7月31日 高校2年特進クラス理系コース
得意科目:数学 苦手科目:倫理・政治経済

「数学的天才」と呼ばれる秀才で、理系学年トップの実力者
ストレートの黒髪でクールな印象を受けるが、実は照れ屋であり恥ずかしくなるとすぐ耳まで赤くなる
甘いものが好きで購買で売られているロールケーキをよく食べている
数学のことを考えると性的に興奮してしまう、という性癖があり、秘密にしている


河本優希(かわもと ゆうき)

162cm 55kg 5月24日 高校2年特進クラス理系コース
得意科目:化学 苦手科目:古典

春子の親友でしっかりとした姉御肌
ぼんやりしている春子の世話をよく焼いている
プロレス技をかけるなど少々手荒な真似もする
スレンダーな体つきにセミロングの髪で、一部の生徒から絶大な支持を受けるほどの美少女である
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2015/06/08 (月)
一村くんは数学的天才ではない

140字SS 001~005

001 誘い

デートの帰り道、離れるのが寂しいと思っていると彼に後ろから抱き締められる
「大丈夫、明日も会えるから」
うん、とうつむく私に
「それとも今日は帰らない?」
そんな甘い誘いに乗れたらどんなに幸せだろう




002 褒美

夕闇の階段、私は彼に追い詰められる
「ねぇ、どうしてほしいの?」
その言葉を刻む潤んだ唇から目を離せない
「言わないと何もしてあげないよ」
か細い声で「キス……して」
「よく言えました」と降り注ぐのは情熱的で甘い口付け




003 微睡

昼寝をして起きると目の前には穏やかに眠る彼の顔
長い睫毛が夕日できらきらと輝いている
悪戯心で唇を重ねると眉間に皺が寄りだらしない声
面白くなって舌で唇を割ってみると目を覚ました彼が私に覆い被さる
「我慢できなくなっちゃった。どうしてくれるの?」
いつもより低い声に心臓が捕まれる




004 存在の影響

一人で入るお風呂が心持ち広く感じる
一人の食事でテレビの音だけが虚空に響く
一人のベッドがひんやりと冷たい
こんなにも貴方の存在が大きくなっているのよ




005 飲み込んだ我儘

柔らかな日差しの中、目覚めると既に着替えた彼が微笑みかける
「んじゃ、朝練あるから」
くしゃりと頭を撫でた彼の足音が遠ざかる
ベッドに残された残り香と体温を求めて布団を抱き締めた
行かないで、なんてわがままを飲み込んで




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2015/06/05 (金)
140字SS

コメント返信&4000hit御礼

こんばんは、佐倉です
ふらっとサイトを覗きに来たら累計訪問者数が4000を超えていました

ありがとうございます!!!!!

長い休止期間を経て再開した当サイトですが、少しずつ頑張っていきますので応援のほどよろしくお願いします
拍手もちらほらいただいて嬉しい限りです


拍手コメントをいただいたので返信させていただきますね


楓さま

「一村くんは数学的天才ではない」をお読みいただきありがとうございます
この小説は少しでも数学の楽しさを伝えたくて書いています
面白いと言っていただけて本当に嬉しいです!
これからも不定期更新ですがお付き合いいただけたら幸いです
本当に励みになります
ありがとうございました!!!


感想をいただけることがとても嬉しくて、僕の原動力でもあります
褒められて伸びるタイプの子ですからw
これからも素敵な物語を書いていきますね
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2015/06/04 (木)
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蒼血のアフェクシオン Chapter00 蒼き血汐 01

 夜更け、加賀睦樹(かがむつき)はコトリ、とヒールの先がコンクリートの床に降り立つ音で目を覚ました。
 月明かりだけが照らすだけの狭いアパートの一室。ダイニングテーブルの前に少女、いや少年が立っている。フリルをたっぷりとあしらいパニエでふんわりと膨らんだ白いワンピースを身に纏い、ところどころ赤や「蒼」の血で汚れていた。
 青白い肌に引かれた紅いルージュが妖艶に光って、中性的な美しさに耳の大きなイヤホンで無機質さが加わり、まるで等身大のビスクドールを見ているかのようだった。
 睦樹は身体を起こすとベッドに腰掛け、少年を両腕に招く。
 抱きしめると少年の若草色の髪から錆びた鉄のような臭いがした。少年を咎めているのではない。人間の内部にある理、未来の書かれた系譜が定めたことだ。そしてこの世界の長、北辰の巫女が詠んだ未来は絶対。この少年にも、睦樹にも覆すことはできない。そう決まっているのだ。
 少年が着ていたドレスを脱がすと、全身に擦り傷や痣、銃創ができていた。その傷跡を丁寧に舌で舐める。唇で柔らかく触れる。するとその肌には一筋の傷もなくなった。加賀睦樹が行使する魔法のひとつだ。傷から滴る蒼い血液を味わう度に、少年がどのような戦いをしてきたのか脳裏に鮮明に浮かんだ。
 睦樹は悲しくなった。
「何故銃弾を避けなかった?」
 少年は何も答えず、自嘲的に口角を上げた。
「なんでわざと傷付く」
 長い沈黙が流れる。その間も全身にできた傷を睦樹は治してゆく。
「ねぇ、睦樹」
 変声前のようなアルト声で言う少年に、何、と向き直ると少年にベッドへ引き倒された。
「睦樹、私を抱いて頂戴よ」
 少年は空虚な瞳で微笑んだ。ああ、まだ傷付き足りないのか。
「……分かった」
 加賀睦樹は少年の肩を抱き寄せ、ゆっくりと唇を合わせた。彼にはもうか弱い少女のようなこの少年が傷付くことが耐えられない。
 ゆっくりとした動作で唇を割り、舌を絡ませ合った。静かな闇夜の中で厭らしい水音が響く。
 加賀睦樹は少年の記憶を手繰り寄せる。
 少年――羽鳥拓磨の記憶を。


***


 その日は春の麗らかな日で、桜の花びらが舞う音がやけに煩い日だった。
 何もかもが気怠くて、日が昇ることすら恨めしくて。ただベッドに沈みこんで真っ白な天井を眺めていた。
 どれだけの時が経ったのだろうか。少し部屋の空気がひんやりとしてきた頃、不意にイヤホンに伝令のコール音がした。
「特務魔法士羽鳥拓磨、本日1650、ポイント175にて違法薬物取引が行われることが予知されました。対象拘束及び殲滅のため速やかに治安部特務魔法科本部まで集合してください」
 機械的な女性の声がブツリと切れた。
 至極どうでもよかった。行くか行かないか、ここに僕の意思も感情もない。
 僕は重い身体を起こした。


こんばんは、佐倉です。やっと連載スタートです。
何度か書いてきたこの作品ですが、苦節7年でやっと形になりつつあります。
どうぞ楽しんでいってくださると嬉しいです。
毎週水曜夜9時更新です。
拍手・感想お待ちしております。

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2015/06/03 (水)
蒼血のアフェクシオン

蒼血のアフェクシオン 登場人物

画像をクリックすると全体像を見ることができます
描いてくださった皆様ありがとうございます
ネタバレを含む詳細プロフィールはこちら→うちの子まとめ(随時追加中)

羽鳥拓磨(はとり たくま)

168cm 47kg 1月31日 高等部1年生普通科Sクラス 特務魔法士
ランク7 固有魔法:知覚できる範囲で物の存在位置を変える魔法

並外れた聴力で音の跳ね返りにより半径20km以内の地形や存在する物質の位置を把握することができ、そのため超遠距離移動が可能となった唯一の存在である
若草色の少し長い髪に中性的な容姿、任務時のロリィタ姿やふわりと空を舞う神々しい姿から「ハトリ様」と呼ばれ敬い畏れられている
聴力を抑えるために常にコードレスのイヤホンをしており、非常コールなどを受信することができる
照れ屋な面もあり、睦樹や莉那からのセクハラにいつも怒っている
詳細プロフィール→うちの子まとめ
0716takumaicon.jpg0927takumaicon.jpg201407192109154b7icon.jpghatorisama02icon.jpg20140803024214b4dicon.jpg0530takurinaicon1.jpg150303takumamutukiicon1.jpg


桜井希咲(さくらい きさ)

164cm 58kg 1月21日 高等部1年普通科Sクラス
ランク7 固有魔法:現在過去未来の人々の記憶を思い出す魔法

無口で冷徹、しかし心優しい一面も持つ
さらさらとしたショートカットの銀髪で瞳は翡翠色で、豊満な体つきが少しコンプレックスである
当代の北辰の巫女であり、そのことはごく一部の人間しか知らない
従弟叔父(母の従弟)の有希、その夫の馨と3人で暮らしている


正木莉那(まさき りな)

154cm 45kg 9月23日 高等部1年普通科Sクラス 特務魔法士
ランク5 固有魔法:不可視の力の檻を生み出す魔法

人懐っこく過度なスキンシップをしたり変なあだ名をつけるお嬢様気質
巫女信仰が篤く、また非常にプライドの高い努力家である
黒髪を長く伸ばし、耳に大きな輪のピアスをしている
0530takurinaicon2.jpg


加賀睦樹(かが むつき)

174cm 61kg 7月26日 高等部3年技術科Gクラス 特務魔法士
ランク6 固有魔法:体液を介して触れた相手の脳波を掌握する魔法

赤い髪を後ろでひとつにまとめ赤縁の眼鏡をしており、両耳や左眉、舌などに多数のピアスをしている(舌のピアスはリミッターでもある)
外見とは反して真面目でありお茶目な一面も見せる
固有魔法以外にも基礎魔法の熟練度が高いため応用力が高く戦闘も可能
特務魔法士であるが治安部の救急救護科に所属している
詳細プロフィール→うちの子まとめ
mutukiicon01.jpg0722mutukiicon.jpg0913mutuki02icon.jpg150303takumamutukiicon.jpg20140803024216d0ficon.jpg20140811211151693icon.jpg


黒田蜜瑠(くろだ みつる)

158cm 44kg 10月25日 中等部1年卜占科Dクラス
ランク3 固有魔法:数秒後の未来を視る魔法

物怖じしないしっかりとした性格
自治区外出身のため魔法については素人
肩ほどの黒髪を内巻きにしており、瞳は赤みがかった灰色
桜井希咲のアフェクシオンである
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泉谷鈴花(いずみや すずか)

147cm 38kg 11月10日 中等部1年卜占科Dクラス
ランク4 固有魔法:相手の感情を読み取る魔法

イケメン好きなミーハー女子で拓磨のファン
魔法を使った恋占いを得意とする
明るいミルクブラウンの髪をふたつ縛りにしている


飯田馨(いいだ かおる)

179cm 65kg 5月10日 区立篠崎学園美術教師 特務魔法士現場運用主任
ランク5 固有魔法:目を合わせた相手の感情を読む魔法・顔と名前が分かるものと視覚を共有する魔法

固有魔法をふたつ所有する特殊な魔法士
視覚共有魔法を駆使して担当の特魔士に指令を出す
泡立てたように柔らかなクリーム色の髪に葡萄色の瞳で丸メガネをかけている
有希とは学生時代の同級生で現在は結婚している
kaoruicon01.jpg150224kaoruicon.jpg


桜井有希(さくらい ゆき)

181cm 70kg 8月3日
ランク2 固有魔法:心に安らぎを与える魔法

拓磨らが通うカフェ『if』の店長
希咲の母と従姉弟関係であり、今は希咲と夫である馨と3人で暮らしている
青みがかった黒髪で優しげな目元である
接客態度は拓磨のことをクソガキと呼ぶなどよく言えばフレンドリー、悪く言えば無礼である
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2015/06/03 (水)
蒼血のアフェクシオン

きみへ

 何があったのか聞きたいけれど、聞きたくない。
 俺はもう気付いていた。聞いたって自分を傷つけてしまうだけだから。

「なあ、俺、彼女と別れたんだ」
「そう……なんだ」
 唐突にきみは話し始めた。
 
 俺には辛すぎる現実が、きみの言葉によって姿を現す。

 コイツがどれだけ彼女のことが好きだったのか、俺は知っている。
 それなのに、喜んでいる自分が居る事が悔しい。
 コイツの幸せがいつだって俺の幸せのはずなのに。

 ふと俺の袖を掴んだきみは、いまにも泣きだしそうな顔をしている。
 きみを抱きしめる事を俺はしてはいけない。
 そのかわり、俺は笑った。

「元気出せよ。またいいことあるさ。悲しい顔してると幸せが逃げるぞ?」
「うん、ありがと」
 無理して笑うきみのぎこちない笑顔が、たまらなく愛おしく思えた。

 今日だけはコイツが家に入るまで見送った。
「また明日、おやすみ」

――――きみのことが、大好きだ。

 閉まったドアの前でそっと呟いて家路に着いた。

 オレンジ色の空が、俺の影を伸ばす。
 苦しくて、寂しくて、幸せで。
 ギュッと制服の裾を掴み、歯を食いしばる。

 いつかこの想いは届くのだろうか。
 いつこの声が聞こえるのだろうか。



こんにちは、佐倉です。
今回は短いお話というより、散文詩のようなものになりました。
この文章は僕がまだ中学生のころに書いたものを少し修正したものです。
恥ずかしいような未熟なような、それでも僕は好きですよ。
いつもたくさんの拍手をありがとうございます。

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2015/06/02 (火)
短編集

蒼血のアフェクシオン 小ネタ集 2015/05

2015.05.12

うちの子ボーイズに似合うシーブリーズの香りを考えてみる
拓磨はクラッシュベリー(可愛いもの好き)
睦樹はジェラートチェリー(チャラい)
有希はシトラスシャーベット(爽やか)
馨はせっけん(公務員だしね)


2015.05.18

創作上のうちの子と対話し始めた僕はもう疲弊している
僕「疲れた」
拓磨「お疲れさま」
莉那「まなちゃんお疲れー、お風呂入るー?」
希咲「お疲れ。もう日付変わっているのだから早く寝なさい」
睦樹「彼氏とセックスして寝れば」
僕「みんなありがとう。そしてちょっと睦樹黙れ」

みんな何着て寝てるんだろう
希咲→薄手のパジャマ
莉那→モコモコ短パンパジャマ
拓磨→ボクブリ&Tシャツ
睦樹→パン1
大人組は考えたら負けな気がする


2015.05.19

うちの子イチの怪力っ子の莉那たんが実戦だと弱そうだと頭を抱えている
お前応用力ないだろ……念力くらい基礎魔法で誰でも習うから……睦樹でも少しはできるから……力押し故に弱そう
莉那は「不可視の檻を操る程度の魔法」なわけだから、その檻を細く鋭利なものにしたら人間を串刺しにできるよね
ってことに莉那がいつ気付くかねぇ
力押しばっかりで絶対気付かねぇぞアイツ

どう考えても一番強いのは拓磨かな
超遠距離攻撃が基本
心臓や脳に異物を埋め込んで終わり
絵的に面白くないから近距離戦させるけど( ´∀`)

睦樹は最高学年だしね
それなりに完成した戦術を使ってくる
基礎魔法もしっかり学んでいるので応用力が高い
遠距離攻撃には成す術がないけど近距離なら触れたら勝ちだ
本業は医者と枕営業()なのでそんなに戦闘に特化してなくても問題ない
むっつんはもうちょっと射撃頑張ろうねー(*´ω`*)Mateba撃ちにくいのは分かるけど頑張れ


2015.05.20

希咲の扱いに困ってる
四六時中未来のこと思い出して生きてるわけでもないし
国務もあるわけだし
何考えて生きてるんだろうこの子


2015.05.25

あっ……学園の保健室の先生が必要じゃん……睦樹をこきつかうような人……
医療行為は睦樹の方が得意なんだろう
ランクも高いし
それをネタにこき使うようないい意味で悪い大人なキャラクターがいてもいいな
美人なお姉さんがいいな


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2015/06/01 (月)
蒼血のアフェクシオン

NLGR+2015へ行ってきました

こんにちは、佐倉です
5月30、31日に行われたNLGR+2015(公式サイト)というイベントへ行ってきました

僕は2日間、ボランティアスタッフとして非力ながら運営のお手伝いをさせていただきました
ゆるーくゴスロリしているスタッフがいたらそれは僕です(笑)
日差しが肌を焼くように強いけれど、爽やかな風が心地よい日でとても活動しやすかったです

毎年会う仲間や、新たに出会った素敵な方々
そんな人々と「また会おう」と約束したイベントになりました

お越しくださった皆様・関係者さま
本当にありがとうございました
また来年も素敵なイベントにしましょうね

虹色のバルーンに想いを乗せて
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出会ったクリエイターさま
エコーさま(小説) きしもとあやさま(イラストレーション) 榊原舞花さま(シンガーソングライター) 西澤芽衣さま(シンガーソングライター)

本当にありがとうございました!
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2015/06/01 (月)
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