コメント返信1件 アンソロジーお知らせ

こんばんは、佐倉です
累計訪問者数10000hitありがとうございます!
ついに10000の大台ですね
これからもどうぞお付き合いのほどよろしくお願いいたします


コメント返信

08/18 吉川蒼さま

お読み頂きありがとうございました。
春子ちゃんはすぐオーバーヒートしちゃうところがあるので、今後の一村くんとの関わりに作者ながら期待しています。
数学ノートを如何に簡潔に書けるか試行錯誤してみました。数学の楽しさが伝われば幸いです。


アンソロジーお知らせ

今週末のコミティアで頒布されるアンソロジーに寄稿させていただきました
「アンソロ版僕らの世界!」という「本編が別に存在する作品の、プロローグまたは短編(番外編)」を集めた小説アンソロジーです

僕は「蒼血のアフェクシオン」の世界観を別主人公の視点で描きました
魔法使いでも人間でもない少女の物語です
原稿提出前に知人にチェックしてもらったところ「これ佐倉のことだよね?」と言われました
「僕の世界」を存分に描いたつもりです

僕の作品以外にも素敵な作品が詰まっています
是非お手に取って読んでくださいね


08/30 コミティア113 スペース【M12a】
A6│302P(表紙込)│1000円(イベント価格)
※イベント後、通販の予定あり

公式サイトはこちら→アンソロ版僕らの世界!
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2015/08/27 (木)
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蒼血のアフェクシオン Chapter01 魔法の学園 09

 拓磨は、立ち止った。目を射すように光輝く銀髪がさらさらと風に揺れている。少女は膝に乗せた上製本の紙面に視線を落とし、前下がりに長いセミロングの髪を耳にかける仕草をしている。制服を見る限り、拓磨と同じ、高等部の普通科の生徒だ。拓磨と違うのはスラックスではなく膝より少し短い丈の黒いプリーツスカートを履いていることだ。すらりと伸びた脚は黒いストッキングに包まれており、黒いローファーを合わせている。
 少女は、顔をあげた。
「はじめまして、羽鳥拓磨さん」
 少女の瞳は、深い翡翠の色をしていた。

 何も言葉を交わさぬまま、少女――桜井希咲と学園の廊下を歩いていた。目配せだけで付いてきてしまったが、方向と任務の話から推測するに向かうは美術準備室だろう。この学園の美術教師である馨は、何の権限があってそうしているのかは分からないが、美術準備室を治安部学園内支部にしてしまっている。本当に自由な人だと思う。
 何か言おうとは思うのだが、言葉が出ない。冷えた静かな廊下に2人の足音だけが響いている。それらの音が鮮明に僕の脳内に地形を写し出す。彼女の存在も、姿形も、心音も、全て聞こえる。「北辰の巫女」と呼ばれる彼女は実在する。その事実が僕の喉に蓋をするのだ。
「着いた」
 凛としたソプラノ声で希咲は言った。予想通り、美術準備室だった。準備室のドアの前には顔の半分が笑い、半分が泣いているお面が吊り下げられている。お面の目のところにはガラス製の馨と同じ葡萄色の瞳が付けられている。馨はこれを通して訪問者を見ているのである。カメラ付きインターホンのようなものだ。
「馨兄さん、連れてきたよ」
 躊躇いなく希咲は開ける。
「おや、君たちもサボりですか」
 一般的な教室の半分ほどのスペースしかない狭い美術準備室の中には油絵を描いている馨の他、始業式があるはずの莉那と睦樹が机の上でオセロをしていた。ちゃっかり椅子まで用意している。生徒が始業式をサボっているのは百歩譲っていいとして、教師である馨がサボるのはどうなのだろうか。
 あっ、はーさん、と振り返った莉那が言おうとしたが、希咲の存在に気付いて動きを止めた。大きく目を見開いて、酸欠の金魚のように口をパクパクさせる。準備実の壁際に積まれた資料の山が風もないのにパタパタと音を立てた。
「これで揃ったようね」
 希咲が準備室の中に足を踏み入れる。反射的に莉那が立ち上がった。
「貴女が正木莉那さんね。いつも私のために働いてくれてありがとう」
 にっこりと、鈴が鳴るように微笑む。
「とんでもございません、巫女さま」
莉那は叫ぶように言い、床に跪いた。僕はこの光景が気持ち悪くてたまらなかった。
「顔を上げて。これからクラスメイトなのよ。一緒に学園生活を過ごしましょう」
「はい……」
 莉那は震えながら、跪いたままだった。
「睦樹、久しぶりね」
 莉那の奥に腰掛けていたままの睦樹に思いもよらない言葉をかけた。莉那と僕は目を見張る。
「久しぶりです、希咲さん。お体の調子はいかがですか?」
「ええ、大事ないわ。ありがとう」
「恐悦至極にございます」
 睦樹はどこかからかうように言った。もう、と希咲が笑う。
 そして……と希咲がこちらに向き直る。
「羽鳥拓磨さん。貴方、私のこと嫌いでしょう? でもこれも使命だから、私のために尽くしなさい」
「なっ……」
 平然と述べる彼女に、僕は怒りしか感じなかった。


こんばんは、佐倉です。お読みいただきありがとうございました。
さっちゃんこと希咲がやっと登場です。この子の扱いに困る僕です。
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2015/08/26 (水)
蒼血のアフェクシオン

一村くんは数学的天才ではない 2時限目 心の絶対値 01

 ちゃぽん。
 天井に結露した水滴が、浴槽の水面に輪を作った。
 放課後、私が気付いたときには、一村くんは優希にヘッドロックをかけられて伸びていた。
 この状況もおかしいな、うん。
 慌てて一村くんを開放してもらい、優希に事情を説明した。

 その1、昨日、私にキスをしたのは一村くんである。
 その2、今日は一村くんに数学を教えてもらっていただけで、特に卑猥な行為はされていない。
 その3、一村くんの特異体質(数学のことを考えると性的に興奮してしまうこと)により昨日の事件が起こった。
 その4、その責任を取るために、私に今日、告白した。

 優希には愛の告白も卑猥な行為だと怒られたけど、優希の過保護さもどうにかならないものか。だから私には彼氏がいたことがないんだよ、と優希がいない浴槽だからこそ愚痴らせてほしい。

 そっか、私、告白されたんだ。

 お湯の熱とは違う何かで血液が沸騰しそうだ。
 結局、返答はできていないけれど、私は別に……嫌では、ない? 多分、きっと? 本当にそうかな?
 疑問符が頭の中をぐーるぐーる、煮詰めるようにかき回されている。
 そもそも付き合うって何? 何をすれば? 私は一村くんのことす、好きなの?
 それに私のファーストキス…………
「ぬあーっ、もう! なんでこうなるのよー!」
 思いっきり叫んでしまい、母に近所迷惑だと叱られたのは、もう少し後の話。


「おはよう」
 大変です。一村くんが教室の前で出迎えてくれました。
 恥じらいを孕んだ声で伏し目がちに挨拶されるのは、朝イチから刺激が強いです。
「ひゃいっ……ぐ、good morning」
 想定外の出来事続きの私には、この些細な出来事さえも大きな負担となっているようだ。声が裏返って恥ずかしい。
「春子、ここ日本よ。何して……お前か」
 続けて入ってきた優希に性犯罪者を見る目で睨まれた一村くんは、表情筋が硬直していてなんとも可哀想だった。
「優希、大丈夫だから、ダイジョウブ、ダイジョウブ」
「春子、乙女の言う大丈夫ほど信用ならない言葉は無いのよ」
「でも一村くん怖がっているし」
「あら、昨日は共に汗を流した仲じゃないの」
 一村くんのは冷や汗だと思う。絶対に。証拠に、優希を見た一村くんは顔を真っ青にして震えている。
「それで一村夏目くん? 私の大切な友人に何か?」
「えっと、これを」
 逃げるように席についた一村くんに手渡されたのは、4つ折りにされた方眼用紙だった。

 手の中の方眼用紙が気になってそわそわしながら過ごした朝のホームルームも終わり、そっと一村くんに貰ったそれを開いてみる。
「えっと、なんだっけ、これ」
 書いてあったのは数式だった。丁寧なボールペン字で。しかし読めない。縦棒ってどう読むの?
 どうしたものかと眉間に皺を寄せて唸っていると、優希がひょっこり後ろから現れて、その紙を覗いてきた。
「春子って子は……あなたもしかしてこれ、読めないの?」
「見ての通りでございます」
「はぁ……これ去年の内容よ」
 やれやれと頭を抱えられても、私が傷付くのだけれど。
 紙には「|-x|を求めよ。」と書いてある。だから|って何なのよ。かつて見た気はするのだがどうにも思い出せない。
 優希が呆れたように方眼用紙に書かれた文字列を読み上げる。
「マイナスエックスの絶対値を求めよ。檜野さんの返事が聞きたいです。放課後、教室で待っています」
「ありが……え?」
 しまった。数式に目が行っていて全く続きに気付いていなかった。
 もしかしてこれって、
「よかったじゃん、春子。ラブレターだよ、これ」

【問】人生初のラブレターを教室で友人に堂々と読み上げられた私の気持ちを40字以内で答えなさい。(配点10)


こんばんは、佐倉です。お読みいただきありがとうございました。
やっと更新です。お待たせしました。
不憫すぎる春子ちゃんをどう慰めたらいいのか困っています。
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2015/08/25 (火)
一村くんは数学的天才ではない

青嵐吹くときに君は微笑む 小ネタ集 2015/07

2015.07.13

7)青嵐吹くときに君は微笑む
こちらはまだサイト未掲載ですが僕の処女作です
登場人物は妹に逆らえない兄の零とアイドル大好きゆるふわ男子の渚
渚は企画「STAR SPECTACLE」でナギサとして登場しています
企画の9か月前に2人が再会するお話
零は高校2年生、1年前の部活動紹介で男子にしては小柄にも関わらず華麗にシュートを決めた渚に一目惚れをしバスケ部に入部したが背中を見ているだけで渚は卒業してしまい今では思い出の人だった
しかしコンサートのチケットを妹に押し付けられ会場に行くと渚の姿が……

背伸びして大人ぶりたい年下男子と、そんなところも見抜いている余裕のある大人な年上男子のひたすらに可愛いボーイズラブストーリーです
2人をひたすら可愛い可愛いしながら書いていました
可愛い男子大好き
徐々にドルヲタの沼に沈められていく零も見どころです
この「青嵐吹くときに君は微笑む」はスタスペ企画終了後に掲載予定です
渚くん可愛い可愛いしようぜ!!!零くんも可愛いけどな!!!妹の雫も可愛いよ!!!
処女作なので思い入れが強いです
4年半くらい前に書いていたお話ですよ……手直し頑張ります

渚くんは料理好きのドルヲタという特徴が目立ちますが、大人の余裕、謙虚さ、懐の深さがポイントです
普段のはしゃぎようとのギャップ大事
女性に触れられることを極度に怖がるのだけれど、それはまた作中で追々語ります
笑顔に隠れた痛みって切ないね


2015.07.14

妹に逆らえないお兄ちゃん(高2)×男性アイドル大好き可愛い系男子(大1)
大人になりたい子供と、子供らしさを忘れない大人
甘い……ひたすらに甘い……グラブジャムンより甘い……
#自創作のカップルを三行で説明する


2015.07.20

渚「素麺やころうどんもいいけど、夏野菜のカレーでスタミナをつけたいね」
零「渚の作る夏野菜のカレー!」
渚「お野菜が美味しい季節だからね。グリルでオリーブ油をかけた茄子ピーマンカボチャを焼いて挽き肉のカレーに乗せるんだよ」
#夏に食べたいものといえば何かうちの子に答えてもらう

渚くんはなんでバスケ部に入ったんだろう……なんとなく?
部活選びって割りと「なんとなく」なのかもしれない


2015.07.21

ちなみに8月6日はナギサくんの誕生日だよ
祝ってくれてもいいんだからね(
これもまた準備ですか……積み上がる原稿の山


2015.07.26

蒸かしてつぶしたジャガイモにチーズととうもろこしを混ぜて餃子の皮で包み、油で揚げてハーブソルトをかけるとめっちゃ旨い。旨かった。
渚くんに今度作らせる
てか渚くんの本編早く書きたい
公開せずにとっとと書いてしまおうか

渚くんがメインキャラクターのお話は中学のときに書いていたけれど、今すぐお見せできるような出来ではないので加筆修正しなくてはならないのですよ……完結もしていなかったしね


2015.07.30

「青嵐吹くときに君は微笑む」
爽やかな風が吹くように微笑む君に恋したのだが、その恋した人は実は嵐の青色の人が大好きだった
#このツイート見た人は作品名の由来を語ってけ


2015.07.31

酒本渚
酒本→友達の名字がカッコよかったから
渚→漢字一文字にしたかった

相原零
相原→名簿番号早そうなやつ
零→漢字一文字にしたかった

某水泳アニメの1年生と名前が一緒だけど全く関係ありません(5年前に書いてた話)
#このツイート見た人は自キャラの名前の由来を語ってけ



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2015/08/24 (月)
青嵐吹くときに君は微笑む

蒼血のアフェクシオン Chapter01 魔法の学園 08

 夕暮れまで他愛のない話をして、僕は莉那と店を出た。睦樹は別任務の話があると言って馨とまだ店に残っている。
 拓磨や莉那は治安部の特務魔法科に所属している。そもそも「特務魔法士」というものは北辰の巫女の勅命で選ばれた魔法使いのことだ。治安部を含む国務機関ポラリスで働く職員は区立学園を卒業時に取得する魔法士二種、その後試験を受けて取得する魔法士一種の資格を持っている。しかし特務魔法士はその資格無しに例外的に治安維持活動を行うことができる。全員が高ランクの魔力を持ち、年齢・性別は問わない特殊な部隊だ。巫女の予知によって「選ばれた」特別な魔法使い。それが拓磨ら特務魔法士である。
 しかし特務魔法士でも特務魔法科に属さない魔法使いもいる。それが赤髪の青年、加賀睦樹である。彼は北辰の巫女に導かれた特務魔法士であるが、自身の魔法の特性故に救急救護科に所属しており、難病治療や人命救助が主な任務である。今日もきっとそのあたりの任務の話でもしているのだろう。
 ガス灯のあかりがぽつぽつと灯りはじめ、夕と夜が混ざった紫の空に星が姿を見せ始める。
「はーさん、新しい制服出した?」
 店で散々泣いて騒いで、やっと落ち着いた莉那が口を開く。きっと有希さんのことだからお茶に精神安定効果でもつけておいたのだろう。
「帰ったらやるよ」
「相変わらず遅いのね。これだから寝坊しても1秒で移動できる人は」
「んだよ。別に制服が変わることくらい何でもないだろ」
「まあ、そうね。あたしたちは変わらないわ」
 莉那があまりにも悲しそうにつぶやくものだから居心地が悪い。有希さん、効かせすぎだ。
「どうせ、アフェクシオンもつかないしいな」
 朝、睦樹に言われたことを借りてみる。
「そうね、少し残念かしら」
「僕は面倒だからいい」
「はーさんらしいこと言うのね」
 莉那がやっと笑顔を見せた。僕より背の低い小柄な彼女がどれだけ大きなものを背負っているのか僕は知らない。けれど、チームメイトとして過ごした時間を思えば、少しくらいは察することくらい容易いのかもしれない。
「はーさん、ちょっと飛ばない?」
「えー、僕ホバリングしなきゃいけないんだけど」
「いいじゃない、少しくらい付き合ってくれたって」
 莉那は魔法を使役する。不可視の力の網が僕を包んでふわりと持ち上げる。
 空を飛ぶと、僕は「トクベツ」なのだという気になる。きっと莉那もそうだ。
「この街はいつも美しいわね」
「汚いところもいっぱい知っているけどな」
 上空300メートルから見下ろした町並みは、銀河の中のような光の海だった。

 ふわり、と桜の花びらが舞った。
 通い慣れた区立篠崎学園の大きな校門前に拓磨は降り立った。ただでさえ高度な魔法をこうも容易く行使しているだけで目立つというのに、若草色の癖のある髪が一際存在感を放つ。結局、今朝になって下ろした黒のスラックスに襟に黒いラインが縫い付けられたワイシャツ、普通科であることを表す緑色のネクタイ、胸に校章が付けられた黒のブレザージャケットを身に着けていた。糊がきいていて少しまだ固い。他には財布くらいしか入っていない青いリュックサックに、魔具であるイヤホンという出で立ちだ。
 他の生徒からの視線を集めているが拓磨は気にも留めずに校舎に向かって歩き出す。講堂で始業式が行われる予定だが拓磨はさらさら出る気がない。屋上にでも行こうかと中庭を歩いていると、花壇脇のベンチに「銀髪」の少女が腰かけていた。


こんばんは、佐倉です。お読みいただきありがとうございました。
初期設定より莉那が大人しいです。これから大暴れしてくれることを期待します。
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次回の更新は08/26夜9時です。

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2015/08/19 (水)
蒼血のアフェクシオン

一村くんは数学的天才ではない 1時限目 始まりの完全数 03

 コース別の補習後、私は教室に向かった。優希は理系だから一村くんと同じくホームクラスにいるはずだ。教室に入ると予想に反して優希は居らず、一村くんだけが教卓の前で黒板を見つめていた。足音で気付いたのかこちらを見ると、一村くんは開口一番「昨日はごめん」と深く頭を下げた。やはり一村くんで確定らしい。
「えっと、その、私もビックリしたけど……大丈夫だったの?」
 一村くんは顔をあげるとばつが悪そうに頬を掻いて
「大丈夫って……檜野さんこそあんなこといきなりされて、怖かったよね、ごめん」
「ううん、大丈夫、私は大丈夫」
 顔の前で両手を振るとちょっと彼の表情が緩んだように見えた。
「でも、なんで急に、き、キスなんて」
「えっ……それは」
 口ごもる一村くんはとても苦しそうで。
「言いたくないなら別の質問に変えようか?」
「でも、檜野さんは気にならないの?」
「人間誰しも言いたくないことくらいあるでしょ」
「……優しいんだね」
「優希にはお人好しバカって言われるよ」
 えへへ、と笑って見せると一村くんは微かに涙を滲ませたように見えた。キスされた理由は気にならない訳ではないけれど、私は一村くんが苦しそうにしている方がなんだか嫌だった。
「そういえば、私の名前よく覚えてたね。一村くんはほら、『数学的天才』なんて呼ばれてるから知ってるけ――」
「天才なんかじゃない」
 私の言葉をさえぎって強く言う彼に驚いた。
「天才なんかじゃないよ……僕は」
 胸から絞り出すような苦しい声で一村くんはつぶやいた。
「でもすごいんでしょ? 私なんて6点取っちゃってさー」
「知ってる。数学最下位6点の檜野春子さん」
「な、なんでそれを」
 あれ、なんか傷を掘り返されてるよ。塩を塗り込まれてるよ。
「昨日話してるのが聞こえて覚えてた」
「どうせ数学できませんよー」
「いや、綺麗な数だと思って」
「えっ?」
 意味も分からず呆然としていると一村くんはチョークを手に取り、黒板に6と書いた。
「檜野さん、完全数って分かる?」
「今、初めて聞いた」
「じゃあ約数は?」
「えっと、その数を割れる数?」
「そうだね。厳密には正の約数とはその数を割り切る自然数のことだ。つまり6の約数は」


6|1,2,3,6


 一村くんは黒板に数字を並べた。ここまでは私でも分かる。
「そして完全数とは、その数自身を除く約数の和が、その数自身と等しい自然数のこと」
「つまりどういうこと?」
 カツカツと一村くんは黒板に数字を刻む。


6|1,2,3,6

6以外の約数の和

1+2+3=6


「スゴいことだとは思わない?」
「言われてみればスゴい……のかな?」
「6以外だと、28、496などがある。英語だとパーフェクトナンバー」
「perfect number……完全な数」
「数にはそれぞれ性質がある。平方数だったり、フィボナッチ数だったり、はたまた無理数や虚数だったり。みな個性的だけど素敵だとは思わないかい?」
 雄弁と語る一村くんはどこか官能に酔うようで。
「一村くん、顔赤いよ?」
 額に手を当てようとした私を振り払って一村くんは後ずさった。
「ごめん、その、昨日みたいなことはしたくないんだ」
「でも体調悪そうだし……」
「じゃあちゃんと言うよ。僕は数学のことを考えると………性的に興奮しちゃうんだ」
「えっ???」
「だから、その、近寄られるとムラっとしちゃうというか、その、檜野さん可愛いし」
 潤んだ瞳を伏せる睫毛が光って、それはもう可愛いと言うかなんというか。
 んんんんんん? 今なんと?
「だから、責任と言うか、僕と、付き合ってください!」
 ナニガナンダカワカリマセン
「ごめん春子、化学の先生に捕ま……って春子がオーバーヒートしてるじゃないの! このケダモノ何をやったんだ吐きなさいよ」
 遠くで優希が叫び、一村くんが逃げ回る音が聞こえたけれど、私はそれどころではなかった
 えっ? 告白されたの私??? 本当に、新学期からなんてことだ。




春子の数学ノート

完全数(perfect number)

その数自身を除く約数の和が、その数自身と等しい自然数のこと。


◎約数とは、その数を割り切る自然数のこと。

例)
 4|1,2,4
 6|1,2,3,6


自身を除く約数の和なので

例)
 1+2≠4  完全数ではない
 1+2+3=6 完全数である


完全数の例

28=1+2+4+7+14
496=1+2+4+8+16+31+62+124+248


こんばんは、佐倉です。お読みいただきありがとうございました。
章末に物語に登場した数学を解説する「春子の数学ノート」を用意しています。参考になれば幸いです。
毎週火曜日21時更新です。
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2015/08/18 (火)
一村くんは数学的天才ではない

一村くんは数学的天才ではない 小ネタ集 2015/07

2015.07.13

一村くんは数学的天才ではない
こちらは現代ラブコメディー小説
数学的天才と呼ばれる一村くんと数学が大の苦手な春子がどうなるのかという少女漫画風味物語
数学の勉強にもなるストーリーとなっております
章末に「春子の数学ノート」という解説付きですよ
僕が数学が大好きで、高校のとき数学主任に「数学的○○」と呼ばれていたことからこのお話が生まれました(伏字は作中で 一村くんのモデルは僕です
僕は一村くんみたいに数学で性的に興奮はしな……うん、聞かないで
数学楽しいぜFOOOっていう話が書きたいんだ
舞台はそこそこの進学校と呼ばれる高校の2年特進クラス(一番勉強のできるクラス)なので、数2Bまでの範囲をメインに書いていきます
たまに大学レベルまで出てくるかも(応用の範囲で)
分からなくても大丈夫、春子と一緒に学びましょう

早漏の男子が出してしまわないように数式を頭で唱えるシーンってあるけど、一村くんは逆効果なんだよなって思うと感慨深いものがある……数学に負けるな春子ちゃん
一村くんが理性を保つために考えるものって何だろう
般若心経でも唱えるのだろうか……(般若心経を唱える男子高校生is何)
夜眠れないときに数学をやってて眠くなるパターンの人って多いらしいけど、バッチリ目が覚めるからどうにも書けないよね( ´∀`)ハッハー

ベクトルの回転について考察してたら目が覚める気がする
回転角をθと置いて2回回転すること(θ+θ※一次変換の足し算は行列の掛け算)と2倍回転すること(2θ)が等しいとする
ベクトルの回転は行列に置き換えて=で繋ぎ展開すると三角関数の2倍角の公式にたどり着く
ご馳走さまでした(高校レベルですね)
CJx7oqnUEAErg7D.jpg

7月26日に「蒼血のアフェクシオン」より加賀睦樹の誕生日
7月31日に「一村くんは数学的天才ではない」より一村夏目の誕生日
7月イケメンやな!!!!!
そして二人ともド変態やな!!!!!(歓喜の舞)

誕生日が近いのがもう1人
「一村くんは数学的天才ではない」より一村夏目くん
理系コース首席の秀才イケメン
静かな印象だけど照れると真っ赤になります。可愛い
数学の話になると興奮しちゃうんですよね……天才と変態は紙一重ですから(語弊しかない)


2015.07.16

一村くんシリーズでlogの話書きたい
書くためにもっと勉強しなきゃいけないけど


2015.07.20

一村くんのどへんたいっぷりが露呈しているwwwwwwww
くだらないことばかりですがどうぞ


2015.07.21

むっつんの誕生日もあるんだけど、一村くんの誕生日もあるんだよね
どう祝おう
キャラビジュアルとか決まっていないので短編を書くとか?
イラストはいつでもどうぞ。目がマジモンの変態なら一村くんです←

目がマジモンの変態であるケータイ小説のイケメンって何

7月31日は「一村くんは数学的天才ではない」より一村夏目くんの誕生日です
作者が勝手に祝います
数学バカ大好きだー
#一村夏目生誕祭2015


2015.07.23

一村くんの全国模試の結果がエグイ……そして無駄にリアル

全国順位が素数だ!と興奮するあまり自分が学年1位だということに気付かない変態一村くんを書けて僕は幸せです…………成績表の数字の羅列を見ているだけで幸せになるよね分かる

作中の数字がちゃんと素数かどうか一応調べてチェックしたんだけど、その際に素数一覧を見てときめいてしまったことを懺悔します


2015.07.24

その点6って素晴らしい
完全数だと一村くんは興奮してたけど、僕としては階乗数であることが嬉しい

大人しく小説書く
一村くんdr期なので一村くんを書く

全国模試での偏差値と順位の兼ね合いを調べているのだが、偏差値80ってバケモノだな……すげぇよ

一村くんほど頭良ければ模試の順位を僕が取ったそのままに書けるのに(ぐすん)

最近母関数が美味しくてな……等比数列の公式の無限級数と話が繋がってくるんだぜ(恍惚)


2015.07.25

僕は「答え」を知りたいのではなく、多種多様な可能性や道筋を考察するのが好きなだけだと気づいた
過程を考えているだけで幸せなんだ
そりゃ学校でならう計算ごっこがつまらないわけだ……苦手だったなぁ

ということを一村くんに言わせよう


2015.07.27

僕から僕へ質問
Q.「一村くんは数学的天才ではない」の一村夏目くんは数学で性的に興奮する性癖がありますが、数学の授業中に勃起して大変なことにはならないんですか?
A.あなたはスケベイラストを描きながら常に勃起していますか。つまりはそういうことです。

一村くんシリーズは圧倒的なキャスト不足だな
数学の先生と担任の先生くらいはいてもいい気がする

R18NLが恥ずかしくて書けないという話を担当さんとしている
一村くんと春子ちゃんがそんなね、ラブラブとかね、お父さん(僕)許しませんよ?(震え声)

一村くんシリーズの終着点をどうするかだよなー
2人は仲良く暮らしましたとさ、めでたしめでたし
でいい気がする


2015.07.30


登場人物の設定を詰めていると何かしら重い過去を背負わせようとするのやめようぜ僕
特に親を殺しまくるのやめようぜ僕
ファンタジーならまだしもそれほっこり日常劇

思いとどまった、大丈夫
一村くんの異常性癖についてですが、生まれつきなので何も過去とかないです。大丈夫です。両親は健在です。殺してません。

「一村くんは数学的天才ではない」
そのまま。一村くんは数学的天才ではないから
#このツイート見た人は作品名の由来を語ってけ

ツラい小説ばっかり書いてて、息抜きに楽しい話書きたい!って思い付きで書き始めたのが「一村くんは数学的天才ではない」です
読者の年齢層低めを想定して書いているので少女漫画的エロ要素混ぜてます
数学が苦手でも楽しめるようなお話を目指してます
その割にはがっつり数学用語出てくる
でもご安心を
主人公の春子ちゃんも分かっていないので「それ何?」と聞いてくれます
ちゃんとノートにまとめてくれるので後で復習もできますよ
高校で習う範囲からはでていない(つもり)

難しい数学も好きなんだけど「100かける10は0の数が2たす1でみっつだから1000」という小学生の算数をlogを使って表してみたりとか、そういう本質を見抜く数学が好きです

100×10
=log[10]2+log[10]1
=log[10]3←0の個数
=1000
とかそういうのをいつか一村くんに語らせる予定

Web上で文字にできない数式をどう小説に組み込もうか……
Wordで書いて画像にするかな?


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2015/08/17 (月)
一村くんは数学的天才ではない

雑記 リンク追加2件

こんばんは、佐倉愛斗です
昨日から夏コミ始まりましたね
僕は地方住みなので書店委託販売を待つことにします

昨日、アンソロジー「僕らの世界!」の原稿を書き上げました
やっと完成させた、という達成感ですがすがしい気持ちです
また頒布が近くなりましたら詳細をお知らせしますね

書き上げた後、エアコミケということでコピー本を作っていました

暇かよ(´∀`)

「蒼血のアフェクシオン」の短編小説を詰めました
自分で読む用なので今のところ販売の予定はありません

Twitterに掲載したところ欲しいとの声がいくつかあったのでいつか販売できたらいいな、とうっすら思っています
通販ってどうやるんですかね
調べておきます

コミケに参加する方々はくれぐれも熱中症など体調にお気を付け下さい(-ω-)/


リンク追加2件

新たにリンクを貼らせていただきました
chatLarme
chatLarme 摘木ケイさま
精神を病んだ方、様々な性別の方、そういったマイノリティな人々を描いた小説サイト
僕が描きたいものと何か近いものを感じてぐっときました
連載中の「カラーレスな世界に朝焼けを」が特に好きです


鴉の風待ち休憩所
鴉の風待ち休憩所 燕弩さま
暗く光るようなファンタジー小説・イラストサイト
「Divine」というお話の自分と自分の対話、葛藤。そんな哲学的な側面が僕の心臓を射抜きました
イラストがすごいです。美しいです。


是非訪問してみてくださいね(*‘ω‘ *)
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2015/08/15 (土)
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蒼血のアフェクシオン Chapter01 魔法の学園 07

 新しい任務、という言葉で一団は静まり、机に肘を乗せて丸眼鏡の奥の葡萄色の瞳を光らせる馨に意識を向けた。
「主に正木さんと羽鳥くんへの任務です。この女生徒、桜井希咲(さくらいきさ)の護衛です」
 馨から送られてきた視覚情報には、蒼い銀髪に翡翠色の瞳の少女が写っていた。
「護衛……ですか」
 拓磨が神妙な顔つきで繰り返す。
「単刀直入に言いますね。彼女は当代の『北辰の巫女』です」
 ガタン、と音を立てて莉那が立ち上がった。瞳が潤み、わなわな震えている。
「あたし……あたしが巫女さまの護衛……?」
 馨は震える莉那の背中を擦り、席に座らせる。
「驚かせてすまないね。本来、巫女の個人情報はポラリス上層部と一部の近親者にしか明かされないのだけれど、今回君たちに任務に就いてもらうために開示させてもらいました」
 北辰の巫女とは魔法士の世界を総べる長だ。かつて魔法使いたちは魔法をもたない人間たちに隔離され、困窮した生活を強いられていた。ある時、魔法使いたちの中から「1000年先を見通す」ことができる魔女が生まれた。彼女は迫害されていた魔法使いたちを率いて国を作り、定められた未来に従って繁栄させた。つまりは多くの魔法使いにとって彼女は絶対的な存在であり、王であり、信仰の対象であった。そして現代まで最高ランクの予知魔法士がその使命を受け継いでいる。
 感極まって莉那は涙を流した。各界の著名人や皇族の護衛の任務は数多くこなしてきたが、多くの魔法使いと同じく彼女にとっても、北辰の巫女は唯一の存在であるのだ。
 一方、拓磨は顔をひきつらせたまま、微動だにしなかった。また彼にとっても例外なく、巫女は特別な存在であるから。
「話を続けていいかな? 北辰の巫女、桜井希咲は明日から区立篠崎学園の生徒になります。クラスは高等部普通科1年Sクラス。羽鳥くん、正木さん、あなたたちのクラスメイトになります」
「でも、なんで急に」
 拓磨が震える声で訊く。
「巫女、希咲自身の思し召しです」
「つまり巫女さまの《思い出した》未来は自身がJKになることだったのか……」
 睦樹も神妙な顔つきだが、言っていることはいつもと変わらなかった。
「本来ならば卜占科が筋ですが、希咲のランクでは通常の授業はほぼ必要ありません。ですから君たちと同じくSクラスとして特別クラス扱いになります。クラスメイトとして仲良くしてあげてください。」
 馨はにっこりと微笑んだ。
「ちょっといいですか」
 拓磨や莉那と違い、平然としている睦樹は口を開いた。
「もしかして巫女さんは、主任の義理の妹さんかなんかですか?」
 その言葉に全員の視線が集まり、どうしたものかと馨がこまねいていると、その通り、と有希がそれぞれのドリンクを乗せたトレーを持ってきた。
「希咲は俺の妹だよ。一緒にここで暮らしてる。はい、お前らがバラバラの注文すっから遅くなっちまったじゃねーか」
 横柄な口調で有希がドリンクを並べる。それぞれのグラスから柔らかく甘い香りがふんわりと立ち上り、緊張していた空気が解けていく。
「みんなビックリさせて悪いな。はい、これサービス」
 そう有希がテーブルに置いたのは紅茶の葉が練り込まれたクッキーだった。ケーキじゃないけど食えよ? と莉那の頭を撫でる。
「俺の妹、希咲は少々気難しいところもあるが、世界一可愛いんだからな。手ぇ出したらその茶に毒を盛るから覚悟しておけ、クソガキ共」
 口角を上げて笑う有希に一同肝を冷やし、夫である馨は苦笑した。
「任務は明日からです。では今日のところは、お茶をゆっくりいただきましょうか」
「了解」
 拓磨たちはそれぞれ注文したドリンクに口をつける。重くかかるプレッシャーのせいか、茶葉の香りで酔ってしまいそうだった。


こんばんは、佐倉です。お読みいただきありがとうございました。
いよいよ物語が始まります。ここまでが長かった気がします。
読みましたのサインに是非とも拍手のほどよろしくお願いいたします。
次回の更新は08/19夜9時です。

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2015/08/12 (水)
蒼血のアフェクシオン

一村くんは数学的天才ではない 1時限目 始まりの完全数 02

「それで? 折角ながーい説教をされている春子をわざわざ待っていた優しい友人を無視してダッシュで帰り、帰宅してから気付いて連絡したとはどういう了見なのかしら?」
「はい、すびばせん(すみません)」
 翌日の昼休み、今度は優希に私はたっぷりと絞られていた。髪の毛をくるくると弄りながらすらりとした脚を組む姿はさながら女王さまのようで。 しかし正座で教室の床に座らされるとはどういうことだろうか。
「何かご不満でも? 檜野春子(ひのはるこ)さん」
「なんでもございません河本優希(かわもとゆうき)さま」
「それで、昨日何があったの?」
  何が起こったかを順序だてて思い出してみる。
「昨日……筆箱を取りに行ったら、教室に男の子がいて、数式がいっぱい黒板に書いてあって、それで」
「それで?」
「き、キス、された」
「はあぁぁぁあああ!?」
 優希の絶叫に教室が騒然とする。クラスメートよ、恥ずかしいからこっちを見ないでくれ。
「ちょっと、相手は誰なのよ」
 椅子から降りた優希が小声で訊いてくる。
「分かんないよぉ。この学校の男子で、ちょっとイケメンで、数式をずっと書いてたとしか」
「教室はここなのよね?」
「うん」
  うーん、と優希は唸ると後ろを振り返った。視線を追うとその先には本を読む男子生徒の姿があった。
「もしかしたら一村くんかも知れないわね」
「一村くん? あぁ、理系のトップの人だっけ?」
「そう。私、数学の補習クラス同じなんだけど『数学的天才』って一村くんは呼ばれているわ」
「天才」
「だって補習と言ってもずっと一村くんと先生が話してるだけなんですもの。私には何を言っているのかさっぱり」
「それ補習の意味あるの?」
「まぁレベルの高い授業が聞けるから不満はないわね」
 これだから優希は……私よりずっと勉強できるもの。

「それで何で一村くんなの?」
「彼いっつも補習後に教室で数学やってるのよ。状況的にはぴったりじゃない?」
「なるほど。じゃないわ。なんで私はあんな……」
「あらあら赤くなっちゃってー。ご感想は?」
「柔らか、かった、です」
「よかったわねー」
 あんな恥ずかしい思いをした私をからかうなんて酷い友人を持ったものだ。
「まぁなんでそんなことをしたのかは分からないけど……強制猥褻罪でお縄をかけてもいいわよ」
「え゙っ」
 変な声が出た。目がギラギラしてるんだけどこの人怖い。
「とりあえず事情聴取からしましょうか」
「えっ、ちょっ、まって」
 優希が私の手を引いて立ち上がり、一直線に一村くんの机までずんずん歩く。
「一村くん、ちょっとツラ借りてもいいかしら」
 優希……私は貴女が怖いです。
「いいけど、何」
 顔を上げた一村くんは私の顔を見るなり目を大きく見開いて、それから耳まで真っ赤に染めた。
 やっぱり一村くんだったの?

 結局すぐ昼休み終わりチャイムが鳴ってしまい、話し合い、もとい事情聴取は補習後ということになった。
 あの表情、多分、というか、間違いなく一村くんだ。でも雰囲気は全然違う。昨日はもっと甘美で、酔いしれたような、色で言うと黄昏のような人だった。それでその、えっと、口寄せ……キスをされた。なんでこうなった? えっ? なんで?
 思い出すだけで耳が熱かった。だって、初めてだったんだもん。それに、気持ちよかっ……た。うん、認めたくないけど。
 私より廊下側の斜め前を見ると一村くんがいる。今は清流のように穏やかで、澄み渡っていて、凛として。いかにも勉強ができそうなオーラを出している。いや、絶対私よりはできるんだけれど。
 授業も頭に入らなくてこんなことを堂々巡りで考えていた。新学期からなんてことだ。


こんばんは、佐倉です。お読みいただきありがとうございました。
春子ちゃんと優希ちゃんの掛け合いを書いていると幸せな気持ちになれます。
毎週火曜日21時更新です。
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2015/08/11 (火)
一村くんは数学的天才ではない

STAR SPECTACLE 小ネタ集 2015/07

2015.07.01

スタスペキャラクター年齢順表というものをつくってみましたのでご確認ください(暇かよ) http://privatter.net/p/878911
自己満足だけど、この子と同い年だったのかーという発見があったので共有しておく
既出だったらごめんなさい

20歳組に萌えてる
みんな国籍も違うけれど何かやらせてみたい
マリッサさんとアンディさんが1日違いの同い年という発見にニヤニヤしてる

美術スタッフの先輩のクレータさんが年下という驚き
たぶん暫く気付かない
気付いても先輩だから敬意をもって接するけど

最年少のアネシュカちゃんと最年長のLBさんの絡みとか素敵すぎる……アンディさんは「おじいちゃんと孫娘」と二人のことを言ってLBさんに殴られればいい(萌)
実際は親子ほどの年齢差なんだよな……それもそれで
そしてナギサくんも聞こえないように「じいまご」って呟くんですね分かります
※じいまご=最年長と最年少の2人組を指すアイドル用語

ディートリヒさんとノアさんとオトヒサさんという異色の26歳組で化学反応が起きないかとニヤニヤしてる

お兄さんお姉さんに可愛がられるアネシュカちゃんを想像して幸せになってる
なんだろう、アネシュカちゃんdr期かな
アネシュカちゃんを愛でる会ですね
逆にビビられそう(そこもまたよい)

ルシャさんあんなに童顔で可愛らしいのにLBさんの次に年上という驚き
可愛いおっさん好きだよ……drdr

ナギサくんが誰かの家に酔い潰れて泊まってしまい、朝ビックリして「僕やらかしました? 一夜を共にしてしまいましたか? 節操もなく???」とパニックになっているところを想像してニヤニヤしてる(なお服は着ていた模様)
天然なところをもっと書きたい
天然ってとどのつまり勘違いや思い込みが激しいということだと思うんだよね
この2人付き合ってたんだ……(勘違い)とか
僕怒られてる?(気のせい)とか


2015.07.03

ナギサくんの描き方講座(個人的メモ)
・顎は丸く、尖らない
・目はカマボコ形
・目尻の睫毛が長いが上がってはいない
・ハの字眉毛
・薄い唇
・内巻き外巻きミックスな髪は耳よりちょっと下までの長さ
・ちょっとなで肩&肩幅狭め
・手は左利き
・無邪気な仕草

アンディさんのカオスっぷりヤバいwwwww腹抱えて笑ってるwwwww
アメリカにはネギに似たもっと大きな野菜があるのでそれをどうぞ(名前忘れた)

スマッペさんと聞いてソワッとしたけど落ち着け僕とナギサくん
事務所の○島組とジ○リー組の派閥闘争の話する?(落ち着け)

ナギサくんは事務所担当なので大体分かるよ
スマッペさんのコンサートには入ったことないけど、金曜20時の音楽番組とか月曜22時の料理&コント番組とかは観てる

ナギサくんはアクロバットボーイズクラブ(旧名称)の馬顔の人がスマッペのHEROの人のモノマネをするから、モノマネの印象の方が強くて観るたび笑いをこらえているんだよ(ものすごく要らない情報)

ダイチさんのことはたぶん怖がってはいないかも
日本人だから比較的話しやすいのかもしれない
でもヲタばれしたくなくて興奮を隠して「な、なんでもないです」と我に返るよね、それ
しかし「この人テレビで観たことある!」という第一印象なので最初は遠慮するかもね
プロの現場だと身を引き締めるきっかけとなる人だから

今になって(すごい勢いで振り返る)がツボにはまってる
そうだね、僕よくそれやるね、ヲタだものね……wwwwww

個人的メモ
ニューヨークの気候について→https://www.looktour.net/newyork/weather
ニューヨークの祝日・イベント→http://newyork.navi.com/special/5054497
その他生活情報→http://www.newyork.jp/

8月は40℃超えるけどお店のエアコンは18℃だからカーディガンかジャケットをお忘れなく!(平均最高気温が26℃ってどれだけ落差あんの8月)
9月もそれなりに暑い、でも屋内は寒い。さあ皆の衆、風邪を引くチャンスです???←

今年のイベントの様子は予知できないので、去年のイベントの様子を参考にお話書いてもいいかもしれない
http://newyork.navi.com/special/5052859
9月13日のベンディーアワード(屋台のご飯を食べ比べて投票するお祭り)で親睦会とか楽しそうじゃない?

10月のハロウィンは絶対書くと決めている
大豆さんが許してくれるなら自己紹介後、行きたい人でベンディーアワードに繰り出したい(美味しいもの食べたい)

ベンディーアワードでノエルさんと仲良くなって三次会で飲みに行こうと計画中
……どこまで自分で話を決めていいのか分からない

とりあえず屋台の場所とメニューメモ
http://newyork.navi.com/special/5034990
いつか役立つ、はず

ニューヨークの飲酒は21歳からと知ってお兄さんちょっと困惑してる
ナギサくん宅飲み決定
美味しいビール飲みたかった!!!!!くそう!!!!!バッファローウイング食べながらバーカウンターでぐいっと一杯やりたかった!!!!!
調べずに年齢設定した僕が悪いですはい
悲しみでバッファローウイングの作り方ググってる
外でダメなら家で食べよう
あとお酒買ってこれないから大人の皆さん買ってきてあげて(白目)
隠し味に醤油とカルピスの原液を入れると美味しいのね分かった今度作る(作中で)

LBさんありがとう愛してる←
かといってナギサくんそんなにお酒強くないからな……酔うと上機嫌になってちょっとえっちな子になります(破廉恥極まりない)
アイドル話をし始めるか、男の人にべたべたし始めたら酔ってます。面倒くさいね。

昨晩は重い過去TLだったのね
ナギサくんの過去は大学1年編を別小説で書いていたのでそのうち企画外で書き直すと思う
その中で高校生のときに何があったかも触れる予定
若くして両親を亡くしているとだけ今は言える

スタスペは勝手に2014年9月スタートの設定で書いてる
VSなんちゃらが6周年なのは今年だけどそれはまぁ気にしない方向で
渚くんと零くんが再会したのは2013年11月9日
嵐ライブツアー「LOVE」名古屋ドーム公演でばったり会うところから始まる


2015.07.04

ウォンさん誕生日かー
プレゼント何がいいのかなーって悩む話にでもしよう
ウォンさんを動かす自信はない

ナギサくんのキャラテンプレートできた
節々で残念なヲタ成分が現れている……この子怖い

アメリカはじめじめしてないからGが出ないヽ(*´∀`)ノってするナギサくんと、アメリカはGもアメリカサイズ(´;д;`)ってするナギサくんをいつか書きたい(アレなネタなので呟いて供養)

こうやって見るとまだ出してなかった情報も多いね
タバスコとかデスソースを持ち込みひっそりと食べさせカメラを構えるアンディさんとかどうっすか

ナギサくんの持病に「女性恐怖症」と書いたが誤解されないといいな
意図的には話せるし接することはできるんだよ
でも無意識で避けてしまう
慣れれば触られても平気だし(ノエルさんあたりにハグされてそう)
女性恐怖症だからゲイというわけでもない
デリケートな問題
果たしてナギサくんはスタスペガールズと馴染みまくることができるだろうか!?女の子との関わりを避けていたような子が!?アイドルヲタのオフ会で慣れて……慣れてるわこの子、多少改善されてスタスペに来てるわ
つまりスタスペガールズにも慣れれば馴染みまくってるよね
料理!イケメン!ファッション!の3拍子揃った女子トーク力の高さ怖い

ナギサくんがガールズとキャッキャしていても心の奥底で恐怖心と戦っていることを頭の片隅でいいので知っていてください
怖いけど仲良くなりたくて必死なんです
いや、口頭で言ってないでこれから作品内で描いていけって話なんだけど

ワンドロライ参加できてないの寂しいツラいウォンちゃん誕生日おめでとう美味しいものご馳走するから好きな食べ物教えて←

ウォンノエの破壊力ヤヴァイ


2015.07.05

杏仁豆腐パーティになりそうな予感

7月にアメリカにいないんだけどどうしよう
もしも居たら、というif話か、誕生日関係なく杏仁豆腐祭りにするか

ウォンノエは公式ではどうなるか分かりませんが仲がいい分には問題ないかと好き勝手やりましたw女の子同士(???)の戯れ大好きです←
ナギサくんがダイエットネタを語り始めたのでそろそろこの子女子ですね(笑)

確かに小柄だから似合うかもしれない……果たして女性恐怖症なナギサくんは女装できるのでしょうか……!?←
女装したナギサ「もう無理、いますぐ消えたい、アンディさんカメラ止めて、ティムも笑うな、うっうぅ(´ぅω;`)」
オトヒサさんが地味にノリノリな様子が目に浮かびます
そしてナギサくんの「もうお嫁にいけない」という珍発言←

ウォンノエが公式公認ってすごいな
控えめにイチャイチャさせたけどもっとさせてもよかったのかな


2015.07.06

スタスペbarの話題に乗り遅れてた
キッチンは任せろ……手軽に作れる美味しいもの出してやっから
おすすめは鳥のからあげ
塩麹に漬けるのでふっくら柔らか、優しい塩味
アメリカ風なら数種の香辛料と隠し味にカルピスの原液と醤油に漬けてカラッと揚げます
ワインに会わせるなら前日から煮込んだラタトゥユをトーストしたスライスバゲットに乗せても美味しい
お料理ネタが書きたいがために料理好きにした可能性には触れてはならぬ


2015.07.08

僕にとってのスタスペでのお父さんはLBさんだな
どっしりとして口数少なくて不機嫌ともとられかねない態度、というところがなんともいい
お兄さんはダイチさん
厳しくも優しく色々教えてくれる兄貴分

ナギサくんのポジション何だろうって考えて真っ先に長女ではないお姉ちゃんと思ったが、ナギサの性別を間違える作者であった


2015.07.09

ナギサくんのバストサイズを一瞬でも考えてしまった僕にきつめのミントタブレットを(眠い)

LBさんにバブみを感じる(語彙力が死ぬほどの衝撃)

ナギサくんの母はナギサが幼い頃に亡くなり、その後高校3年生のときに父が亡くなりました
日本では父が残したマンション(超広い豪邸)で莫大な遺産を切り崩して独り暮らしをしていました
ナギサくんファザコンだからLBさんのこときっと父と重ねて見ているかもしれない
ナギサくんの家庭環境はよくあるドロドロ具合なのでお察しですね
継母と仲が悪かった、と言えば大体説明がつくくらいありきたり


2015.07.10

渚さんにお尋ねいたします。
「好きな音は?」
「いつもポケットに入っているものは?」
「キスをする時には、目を瞑る?目を開けている?」
http://shindanmaker.com/531841

好きな音→煮物がコトコト煮える音、ネギを刻む音、好きな人の声
ポケットに入っているもの→ハンカチ、スマホ、音楽プレイヤー
キスするとき→たまに目を開けて見つめている

女性グラビアの場合「あーダメですよポイ捨ては(無関心)」
エロBLの場合「あっ、イケメン……でもそんなすんなり入ったら苦労しない(´・ω・`)あと受けのおちんちん揺れる描写が足りません、やり直し」
#落ちているエロ本を見たうちのこの反応
ナギサくんよ、エロBLを拾って読むな(思春期真っ盛り)

大人の皆さんのサバサバっぷり好きです(悶え)

さあ劇場にエロ本を持ち込んだのは誰だ

ナギサくんの彼氏の話がたまーに出てくるけど知らなくても大丈夫です
逆に、えっ、居たんだ(*゚Д゚*)という反応を見たい←
情報を言うならバスケ部の後輩の高校3年生です
お互いがお互いの事大好き大好きなカップルですのでいつか書きたい。書きたい。


2015.07.14


グラブジャムン(世界一甘いお菓子)をスタスペメンバーで食べる祭りやろうぜ(いつぞやの二番煎じ)


2015.07.13

修学旅行の夜トークをひたすらうんうんって聞いていたい(*-ω-)
ずっと聞きに徹していて最後に「でもバリーさんイヴさんのこと好きなんですよね?」って止めをさしてほしい

ナギサくんは話を振られたらデレデレしながら話します
このバカップルめ(
あとはずっと聞いてる
聞いておいて核心をつく質問をする
そして気付いたら寝てる
#修学旅行の夜のうちの子の様子


2015.07.16

ナギサくんが何かをやらかすとは僕にも思えなかった……でも我が強いから意見の食い違い程度は怒るかな?
失敗することももちろんある
しかし大人の世界なのでわざわざ叱ってももらえず「もういいから」と役割から外されるかな
叱ってくれるほどみんな優しい?

スタスペで殺人事件ってどうしたら起こるの……
キャストが役争いでギスギスするのは分からんでもないけど
大道具の下敷きになって重傷とかたまにニュースで見るよね
気を付けます

ジョージさんに殺す(釘を完全に打つ)、半殺し(釘を半分まで打つ)と言って貰いたい欲
ナギサ「ここ殺しますか?」
ジョージ「いや、半殺しで」
と物騒な会話をして欲しい(楽しい)


2015.07.17

闇落ちがよく分からなくて茫然としているのだが、皆さんが楽しいのなら何より
うちの子ですか? 闇のない子がいるとでも?
この世は光と闇でできているのだよハッハー(ダメ作者)

少なくとも渚くんはおじいちゃんになって零くんに看取られて死ぬからな
末永くラブラブしてろ!!! 別れたら別れたでその先の幸せを互いに願え!!!

いつかだけど、僕がおっさんになったら、おっさんになった渚くんと零くんを書きたい
んでジジィになったら、ジジィの渚くんと零くんを書こう
多分、その歳にならないと書けない気がする

今でも十分おっさんだと思った奴はケツからテキーラ流し込んでやる(やめなさい

クラブとか行くと水鉄砲で口にテキーラ流し込まれるから怖いよね
バーで談笑しながら飲むのは好きだ(ノンアルしか飲まない)けど、クラブはまだ行ったことない
スタスペメンバーは誰が夜遊びしてるんだろう

マリッサさんとアンディさんがバーで飲んでいるところを想像して悶えた
大人組よい。非常によい。
何を語り合っているのでしょう……大人の哲学とか語ってほしいです
年齢的にも成熟してきてこの先の人生について考えていく頃合いなので、非常に気になります
結婚しないの?とか、この先の目標は?とか

60近いおっさんに「38なんてまだまだ若僧だよ」と言われ苦い顔をしつつも頭が上がらないLBさんどこかに落ちていませんか

異能バトル系魔法ファンタジー小説を連載しているのだが、そこに登場するカフェでナギサくんがバイトしているというどうでもいい設定がある
非常にどうでもいいので誰にも言ってなかった気がする

童貞をあぶり出すLBさんwww好きwww
ちなみに誰が童貞なんだろう
ナギサくんは恋人いるのでまぁ非童貞だろうね

バリーさんに依頼されて涙目で「ななな何ですかこれ(カタカタカタカタ」と震えるナギサくんですね
CG作品のホラーは好きなのに本物の心霊現象はダメです
バリーさんは何でもない顔で「幽霊写り込んだから消しといてほしいっす」とw


2015.07.18

ナギサくんの作ったご飯が食べたいそうめんが食べたい缶詰のみかんがそうめんと一緒に水の中に入っていて汁にすりごまと刻み白ネギが大量に入っているやつ(お腹空いた)


2015.07.22

自己紹介小説まだ書いてない……どうしたもんかと考えてはいるのだが、スタッフだしなぁ
それより顔合わせ後に祭りにつれていきたい(本編やれ)

ジョージさんとは裏方組でワチャワチャしたいなーって思ってる
釘を打つことを「殺す」「半殺し」と言うというネタをやりたくてな……←
詳細を言うと、大道具を組み立てるときに釘を半分まで打つことを「半殺し」頭が出ないよう奥まで打つことを「殺す」と言います(大道具さんが主人公のマンガで知った知識)
大道具組み立てながら殺す殺さない半殺しと物騒な会話をしてザワザワされたい←


2015.07.24

ティモシーさんに引くとゴキブリのおもちゃが大量に出るクラッカーを渡したい……ゴキブリ嫌い組が大パニックになっているところを見たい……ゴキブリが出たときのみんなの反応が見たい……

街行くイケメンに「あっ……イケメン……」と萌えるナギサくんを想像してみたけど、あいつアイドルにしか興味ない上にアイドルは恋愛対象じゃないわ
むしろイケメン見馴れすぎて評価めっちゃ厳しいわ
あと好みってあるよな
イケメンと言われているスポーツ選手や男性ダンスグループに全くときめかない
もっと白くて細くてナヨいの!!!って思ってる(僕もナギサも)
リーダーが白くない?あれは例外だ色気とダンスと歌だ


2015.07.28

痴漢ネタですか
ナギサくんが痴漢される……あり得そう
痴漢って電車の中のイメージがあるけど、エスカレーターや道すがらもあるんやで(経験者は語る)

わざとではなく触ってしまって痴漢だと騒がれたら人生終わると真っ青になっているお兄さんに対して低めの声で「大丈夫だ、問題ない」と言うウォン♂さんください
ウォンさんがそう言うのかは分からないけど、女装家あるあるだから←



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2015/08/10 (月)
企画 STAR SPECTACLE

宝物いっぱい

「渚、誕生日おめでとう」
 8月6日、午前0時ぴったりにこの言葉を聞くようになって2年目になった。
 電話の主は、相原零くん。僕の大好きな恋人だ。男同士で付き合っていることはまだまだ隠れざるを得ないご時世だけれど、彼のことを好きだという気持ちを誤魔化すことなんかしない。その点、アメリカでは割とオープンだったな、なんて思い出してみる。

 僕がアメリカのニューヨークへ飛んだのは、僕が20歳になってすぐの9月のことだった。コンサートやテレビ番組の舞台装置の勉強のため歌劇団STAR SPECTACLEの美術スタッフとして働きながらニューヨーク市内にあるパーソンズ美術大学に半年間留学したのだ。
 はじめは慣れないことばかりだった。日本で買った観光ガイドと英会話例文集を片手にニューヨークを彷徨い歩いたことを思い出す。地下鉄の乗り方すら分からなくて、身振り手振りと拙い英語で駅員さんに尋ねたものだ。
 劇団では緊張しっぱなしだったな。今ではティムやアンディとあだ名で呼ぶ友人たちにもいつも堅苦しく話していた気がする。LBさんに至っては目が合っただけで背筋を凍らせたものだ。
 ティムといえば、彼を初めて僕の住んでいたアパートに招いたとき、僕はカミングアウトしたんだった。
「いつも作業の休憩時間に嬉しそうにスマホ触っているけど、ナギサ、彼女いるのか?」と冗談半分に訊かれて、つい「ガールフレンドじゃなくてボーイフレンドですよ」なんて答えてしまったんだ。
 ニューヨークは世界最大規模のゲイパレードが行われえる街だと頭の片隅にあったのもあったが、僕は自分の殻を破ってみたかった。隠さないで、ありのままで、好きな人のことを好きと話してみたかった。男性が好き故に自己肯定できなかった忌々しい記憶が甦る。
 ティムが「そっか」とたった一言答えるまでの長い一瞬、心臓が早鐘を打った。喉まで痛かったのを覚えている。その一言と屈託のない笑顔で僕がどれだけ救われたか、ティムは知っているだろうか。
 その後、僕は周囲に零くんのことをぽつりぽつりと話すようになった。劇団の人たちが優しい顔をして聞いてくれるから、僕は嬉しくてたまらなかった。「リア充爆発しろ」なんて言われたこともあったっけ。
 楽しかった。僕を僕でいさせてくれてありがとう。みんな出会ってくれてありがとう。
 アンディさんに言われた「誕生日ありがとう」という言葉を胸に僕は眠った。

 数日後、いくつか届いた小包を零くんと開けてみることにした。
「えーっと、これはLBさんとアンディさんだね」
 両手で抱えるほどの大きさの段ボール箱には2人の名前が書かれていた。
「アンディさんってテレビ電話中もカメラ回している人?」
「そうだよ」
 ニューヨークにいたときにみんなで零くんとテレビ電話をしたのだが、そのときもアンディさんがカメラを回していたことを思い出してふふっと笑う。
 ガムテープで補強された箱をなんとか開けると「キャー」と僕は声を上げた。
「アマタ! アマタのぬいぐるみだ!」
「おお、すげぇな。柄まで一緒だ」
 ぴょんぴょん跳ねて喜ぶ僕の頭を零くんが撫でて落ち着かせる。先日、アンディさんに言われた通りの反応をしてしまったことに気付いて頬を赤く染めた。ということは、うさぎのぬいぐるみはアンディさんからだ。ニューヨークでは売っているところを見たことが無かったから、アンディさんにどのお店で買ったのかを後で訊いてみよう。
 箱の中には他にはカナダ産のメイプルシロップの瓶詰めが入っていた。これはお料理に使おう。まずはシンプルにホットケーキかな? 紅茶にも入れてみよう。
「他には何か入ってる?」
 零くんと一緒に箱の中の梱包材を取り除いて宝探しをする。掴んだものは手のひらサイズの箱だった。
「えっと……」
 箱に書かれた文字を読むと、僕は顔を真っ赤にして段ボール箱に戻し蓋を閉じた。
「渚、どうかした?」
「ナンデモナイデスヨ」
「目がぐるぐるしてるよ? 大丈夫?」
「ダダダ、ダイジョウブデス」
 いくら零くんとのことをオープンにしていたからってこれは恥ずかしいですよLBさん……ありがたく後で使わせていただきます。何、ツイストタイプって。

「あとはバリーさんからDVDだね。えーっと……スタスペガールズファイブ?」
「なんだよ、その女児向け戦隊アニメみたいなタイトル」
 零くんが苦笑しているが、とりあえずデッキにかけてみる。
 明るいテンポのいかにも「あいどる」な曲に合わせて登場したのは陽咲、アネシュカ、エミリア、リーゼル、カトリの5人。このフリフリのミニスカートに膝上の靴下は誰のセンスなのだろうか。まさかLBさん……というか、舞台装置まで本格的でびっくりする。音響はノエルさん、照明はルシャさんなのだろう。半年間で感じた彼らの癖をところどころ感じる。
「渚、渚が居たのってミュージカル劇団だよね?」
「こういう演目じゃないのかな」
 バリーさんからの手紙にはスタスペのメンバーで即席アイドルを結成してみたと書いてある。ということは、つまり僕のために企画してくれたということだ。いつも奇想天外な発想で楽しませてくれるバリーさんらしいと口元が緩んだ。
「ふふ、懐かしいなぁ……」
 画面の中で個性豊かに踊る彼女たちを見て呟いた。彼女たちだけではない。衣装も音楽も照明も舞台装置も脚本も、全て仲間が作り上げたものだ。
 オフショットコーナーでのメッセージをひとつひとつ僕は日本語に訳して零くんと見ていた。ひとつひとつ言葉にするたびに思いが零れて涙となる。また一緒に舞台を作りたい。僕を成長させてくれた仲間にありがとうを伝えたい。たくさんの思い出をくれた彼らのことが好きだ。
 ぽろぽろと涙を零す僕の背中を零くんが抱きしめてくれた。

 僕の誕生日がこんなに晴れやかなものになって2年目。
 19の誕生日は悲しみと孤独の中に居た。
 20の誕生日は愛する人と離れる不安に泣いた。
 そして21の誕生日は、たくさんの仲間との思い出を胸に抱いて。

 僕の宝物がいっぱいです。


こんばんは、佐倉です。ナギサくんの誕生日を祝っていただきありがとうございました!
嬉しすぎてぼろぼろ泣いてます。ナギサくんにこんな素敵な仲間が居たことが嬉しくてたまりません。
スタスペを卒業した後、21歳の誕生日を描いてみました。いただいたプレゼントを登場させています。ありがとうございました。
お借りしたキャラクター(名前のみも含む):ティモシーさん、アンディさん、LBさん、バリーさん、陽咲さん、アネシュカさん、エミリアさん、リーゼルさん、カトリさん、ノエルさん、ルシャさん
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目次
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2015/08/08 (土)
企画 STAR SPECTACLE

140字SS 041~045

041 僕は、戦う

孤独を剣に、悲しみを盾に
僕は何と戦っているのだろう
おそらくは、自分自身と



042 溺水

 もう溺れている。自覚したときには手遅れだった。息をするのも苦しいほどあなたへの想いで胸がいっぱいになる。
 3日後、僕は夢を掴んで海を渡る。あなたは心から喜んでくれたね。やっと掴んだチャンスとあなたへの思いを天秤にかける。
「好きになりたくなかった」
 別れがこんなにもツラいのならば。



043 終焉のスポットライト

目の前にスポットライトの奥の薄暗い客席が広がり、座る彼らは僕らを見定めている
娯楽であるはずの音楽が、そのときだけは武器となる
その鋭利さが肌に突き刺さるのを感じた
13分のための夏が終わる、と心でつぶやくと視界が潤んだ
ああ、寂しいのだな
何かを僕は得られただろうか



044 後悔

本番のことはもう思い出せない
何を見ていたとか、何を聞いていたとか
そういった感覚は刹那的に消えていった
結果など聞かなくても分かる
僕に次の舞台など用意されていないのだと、楽器を下ろし瞬間に悟った
悔しくてたまらなかった
悔しくて泣けるほど努力しなかったことが



045 言霊

結果発表後、口々に感想を述べる中、僕だけが「次はもっと大きな舞台へ行きたい」と口にした
僕が一番非力で、実力もなくて、努力が足りていないことも分かっている
それでも、次こそは、と言葉にした
誰にでも目標を言うことくらいはできる
けれど、言葉にしなければ叶わないのだと知っているから







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2015/08/07 (金)
140字SS

酒本渚生誕祭2015

こんにちは、佐倉です。
昨日は「青嵐吹くときに君は微笑む」「STAR SPECTACLE」の酒本渚くんの誕生日を祝っていただきありがとうございました!
素敵なイラストやお話をくださって嬉しい限りです。
渚くんの誕生日が年々にぎやかなものになることが嬉しくてたまりません。
19の誕生日は悲しみと孤独の中に、20歳の誕生日は愛する人と共に、21歳の誕生日はたくさんの仲間と幸せな思い出を抱いて。そう渚くんを成長させてくださった皆様に感謝でいっぱいです。

いただいたイラストと小説の紹介をさせていただきますね。

イラスト


小説

うどんさん→困った顔が見たくて、(鍵アカウントのためリンクのみ紹介)

そのほかにもたくさんのお祝いのコメントをありがとうございました!
大事にしますね。

僕が渚くんの誕生日祝い小説を書けていないので、一日遅れですが書こうと思います。
本当にありがとうございました。

しばらくは誕生日の子がいないので生誕祭はお休みです。
怒涛の夏生まれ組の誕生日ラッシュにお付き合いいただきありがとうございました!
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2015/08/07 (金)
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青嵐吹くときに君は微笑む

「先輩がもう一度、俺に微笑んでくれたら、それでいい」
高校2年生の零は冬のある日、妹に超国民的アイドルのコンサートチケットを押し付けられる。渋々コンサート会場に行くとそこで憧れの先輩、渚の姿が。しかし渚のあの天真爛漫な笑顔は失われていた。恋と命のお話です。

渚の後日談→企画 STAR SPECTACLE


本編

01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23(完)


番外編

短編集

↑new old↓
銀杏の花 誕生日|BL|IF


小ネタ集

2015年|07 08 09 10 11 12


資料集

ネタバレを含みますのでご注意ください
登場人物の詳細→うちの子まとめ


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2015/08/06 (木)
novel

蒼血のアフェクシオン Chapter01 魔法の学園 06

 紅茶の芳醇な香りがする店内は、優しいピアノの音色に包まれていた。第一区職人街と呼ばれる大通りに面するカフェ「if」はカウンター席が6席と窓側の4人掛けのボックス席が2つだけの小さな店だ。店の売りは多種多様な茶葉で、世界各国から集められた特上の茶葉には店主の「魔法」がかけられている。今日もその小さな店内に置かれたアップライトピアノの鍵盤がひとりでに音楽を奏でていた。
「あのさ、馨(かおる)。いくらなんでも俺の店で作戦会議するの、やめない?」
 ボックス席の前で注文を取るこの店の店主、桜井有希(さくらいゆき)はやれやれと溜め息を吐いた。
「いいんですよ、ここは僕の家なんですから。マイダーリン?」
 食えない笑顔でそう返すのは国務機関ポラリスの治安部特務魔法科の現場運用主任の1人である飯田馨(いいだかおる)である。区立篠崎学園の美術講師であるが、ランク5の実力者で27歳という若さで現場運用主任に任ぜられた「仕事のできる男」なのだが、どうもマイペースなところがあり、今日も会議に呼ばれている担当特務魔法士である拓磨、莉那、睦樹はいつも振り回されている。そして馨と有希は婚姻関係にあるのだ。
「家はここの奥です。ここは店だからな。ではご注文をどうぞ」
 釘を一応刺しておくがこの男には意味がないだろう。有希は諦めてペンと紙を取りだすとそれらは彼の手を離れて浮遊した。
「私はホットのオリジナルティー、砂糖多めでミルクも」
 馨が注文すると、会議に召集された拓磨、莉那、睦樹も順に注文をした。
「えーっと、オリジナルのホットの砂糖多めミルク入りひとつとオリジナルアイスガムシロ2倍がひとつとガムシロ無しレモン入りがひとつ、トロピカルアイスティーオレンジがひとつ。なんでバラバラにするかなめんどくせぇ」
 有希が唱えるがまま勝手にペンが紙の上を滑る。接客業らしからぬ悪態まできっちりとメモされた。
「かおかお、あたしケーキ食べたい」
 上司である馨を「かおかお」と呼ぶのは馨の隣に腰掛ける正木莉那(まさきりな)。長い黒髪と大きな輪のピアスが特徴的な少女で、一言でいえば傲慢なお嬢様だ。
「正木さんが私にも奢ってくれるならいいですよ」
 馨が揶揄すると莉那は、かおかおのけちー、と頬を膨らませた。
「ご注文は以上ですね?」
 形式上の確認だけ済ませると有希は紙とペンを掴んでカウンターの奥へ準備しに戻った。

「さて、今回の任務お疲れ様」
 馨は皆に向き直って話を始めた。ホイップクリームを連想させる滑らかな金髪をふんわりとさせて、実年齢より若く、いや、年齢性別不詳といった外見の彼はゆったりとした口調で簡潔に結果をまとめる。
「バスの爆破事故だけれど、死亡者無し。周りの物損、怪我人無し。被害はバスが1台スクラップになって一時道を塞いだのと、運転手が肩に怪我。これは睦樹が治療済みだね」
 はい、と馨の向かいに座る赤い髪の眼鏡をかけた男、睦樹は返事をして続けた。
「運転手は拓磨に引っ張られた際に元々弱かった肩の骨を脱臼しただけでした。外れた関節を元に戻したので暫く安静にしていれば直に治ります」
「おっけー。問題はなさそうだね。羽鳥くん、今後は引っ張らずに足元からすくって持ち上げなさい」
「はーい」
 気だるげに返事をしたのは睦樹の隣に腰掛ける若草色の頭の少年、羽鳥拓磨だ。任務中はロリィタ姿だったが、今は長ズボンにパーカーと至って地味な服装をしている。ばつが悪そうに頬にかかる髪をくるくると指に巻き付けていた。
「にしても、はーさんの転びっぷりは凄かったわね」
「なっ」
 拓磨のことを「はーさん」と呼んだのは莉那だった。
「あっ、あれはバスが動いている前提で座標を合わせて《跳》んでいたから……って見てたの?」
「かおかおの視覚共有で《視》ていたのよ。ねー、かおかお」
「そうですね。視界が1回転して目の前に羽鳥くんのパンツが来たのには私も笑いました」
 愉快そうに笑う2人に拓磨は視線で睦樹に助け舟を求める。
「俺も見たかったなー。拓磨のふりふりおパンツ」
「誰がフリフリのパンツなんて履くかーっ」
 拓磨は耳を赤くして叫んだ。残念ながらどこにも味方はいなかった。舌なめずりをする睦樹の口から銀のピアスが覗く。
「断片的ですが映像を送りましょうか?」
「主任やめてください」
「是非お願いします」
「睦樹見たら殺す」
「ん? お前いつも自分からスカートたくし上げて――」
 その言葉の続きは拓磨が顔を真っ赤にしてどうにか必死で阻止した。莉那はそんな拓磨を見て腹を抱えて笑っていた。

「ところで主任、新しい任務って何ですか」


こんばんは、佐倉です。お読みいただきありがとうございました。
視点が変わり、高校生組のお話になりました。小さなカフェって好きですよ。
読みましたのサインに是非とも拍手のほどよろしくお願いいたします。
次回更新は08/12夜9時です。

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2015/08/05 (水)
蒼血のアフェクシオン

一村くんは数学的天才ではない 1時限目 始まりの完全数 01

 その日は、何でもない桜薫る春の日だった。高校2年生に進級して初めての全国模試で私は有り得ない点数を出したのだ。
「春子(はるこ)どうだった?」
「うっ……ううぅぅぅ優希(ゆうき)ぃぃぃ、どうしよう家に帰れないよぉ」
 中学からの友人の優希に思わず泣きついた。有り得ない。これは有り得ない。
「また春子のことだから数学で酷い点数でも取ったんでしょ。何点だったの?」
「ろく……」
「ろく?」
 暫し躊躇いの沈黙があり、やっと私は声に出す。
「6点」
「えっ、6点? 60点じゃなくて?」
「うん」
 一応弁明しておくけれど、私の通うここの高校は県内でもそこそこの自称進学校だ。そして私のクラスはその中でも成績上位40人しか入れない特進クラス。そしてこの点数である。
「春子、流石にそれはダメでしょ」
「優希っ……私もうクラス落とされるかな」
「一応進級してるから大丈夫……だと思う」
「思うって何よ」
 苦笑いしかしない友人にいくら泣いてもこの現実は変わらない。
「本当に数学だけはダメよねー。暗記科目だけはいいのに。はい、クリームパンあげる」
「ぐすっ……私は今傷ついてるんだからねっ。傷心の極みなんだからねっ。あとクリームパン美味しい」
「それはようござんした」
優希に頭を撫でられて昼休みを過ごすこのときは、まだあんなことになるとは夢にも思わなかったのだ。

 茜色の空。少しだけ日が長くなった涼しい夕暮れ。職員室で担任にテストのことでたっぷり絞られてヘロヘロになっていたところ。
「あっ、筆箱忘れた」
 一緒に帰ろうと待っていてくれている名前通り優しい私の希望の優希に一言メッセージを飛ばして教室への階段を登った。
 こんな点数取るなんて私だって思わなかったよ。先生もなんで私なんか特進に入れちゃったのかなぁ……国公立以外の大学は許さないとかさぁ。
 重い足取りで紅い廊下を歩いていると、コツン、コツンとチョークで黒板を叩く音がしていることに気が付いた。誰か教室に居るのかと思ったけれど前の入口をガラリと開ける。溜め息を吐いて顔をあげると、そこには美しい少年の横顔があった。
  えっと……誰?
 板を見るとびっしりと書き連ねられた数式。茜色に照らされた少年は肩で荒い息をして、瞳は濡れていて、ネクタイは緩み胸元がはだけていて。そして白いチョークを持つ手は震えていた。
「あの……大丈夫ですか?」
 おそるおそる声をかけると、少年はビクッと体を反応させてこちらを見た。教室を染める茜色より紅い顔。ふやけた官能的な表情。少年はチョークを置くと私の方に向かって歩いてきた。
「えっ、あの、ちょっと…………っん」
  拒む私のことなんて露知らず、私の頬を手のひらで掴むと唇を重ねたのだ。
「んっ!?」
 舌が私の唇を割る。逃げようとしても逃さないその凶悪な甘いキスに幼い私は成す術もなく。
  「っは」
 ようやく解放されたときには私は腰砕けになりその場に座り込んでいた。見上げると少年は絶望した顔で立ち尽くしていて。
 「し、失礼しましたっ!!!」
  私は筆箱のことなんて忘れて走り去っていた。


こんばんは、佐倉です。お読みいただきありがとうございました。
一村くんシリーズは以前から書いていたものですが、どうにも納得がいかなくて加筆修正・再掲という形をとらせていただきました。
もう一度、一村くんたちのことを楽しんでいただけたらと思います。どうぞよろしくお願いします。
毎週火曜日21時更新です。
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2015/08/04 (火)
一村くんは数学的天才ではない

蒼血のアフェクシオン 小ネタ集 2015/07

2015.07.01

#お宅のお子さんで絶対に本気で怒らせてはいけないのは誰ですか
別に誰を怒らせてもいいし怒るのも人の営みだと思うが、莉那を怒らせると自制心が未熟故に人を殺してしまうのでやめておいた方が賢明かもしれない
殺めてから我にかえって泣き叫ぶ彼女を誰が抱き締めてくれる?


2015.07.04

拓磨「睦樹って味から記憶や感情を読み取れるんだよね?肉とか食えるの?」
睦樹「ああ、食べられるよ。ちゃんとこの牛がどう見かけだけの愛で育てられどう残虐に殺されて遺体をバラバラにされるか鮮明に記憶されているね」
拓磨「うっ、よく食えるな……」
#うちの子たちで焼肉に行くとこうなる
睦樹は魔法の制御ができるのでもちろん冗談です
騙されて食欲無くす拓磨きゅんドンマイ(´▽σ`)σ♪


2015.07.10

#お宅のお子さんを描くときのポイントを教えてください
拓磨→イヤホンは円柱に耳にいれる部分と耳かけが付いているだけでコードレス
睦樹→耳のピアスは適当にたっぷりつけておけばよい(適当)
莉那→前髪の範囲広めで高飛車っぽい表情にしておけば彼女らしく見える
黒蜜→黒髪を内側にワンカール 中学生だけどおっぱいある
鈴花→ませてるロリにしておけば問題ない
有希→髪の青みが強めでもいいかも 目がくりっとしてる兄さん
馨→丸眼鏡は小さめで 髪の毛は僕にも分からん() 女顔な兄さん
魔法使いズは総じて血液が蒼いので血の色が見えるところは青っぽくなります
肌も青白い(黒い白いはあるけれど)
でも頬は赤くていいよ大丈夫、可愛ければそれでよい
代わりに爪を青っぽくするのがポイント


2015.07.13

1)蒼血のアフェクシオン
魔法使いの存在が明るみになった現代日本のお話
魔法使いのモデルになったのはセクシャルマイノリティ
魔女裁判で死刑にしてた時代と同性愛者を死刑にしてた時代が似てる(厳密には違うけど
人権くださいしてちょっとはマシになった世界
しかしまだ差別偏見はあって魔法使いは自治区に隔離されてしまう
このとき、隔離された魔法使いを導いたのが「北辰の巫女」と呼ばれる空前絶後の予知魔法士
彼女は魔法士への教育・訓練法を確立させ、数々の魔法士を導き魔術産業によって自治区を繁栄させた
そうして国家と同等の権利を勝ち取ったのが魔法士特別自治区なのです
この魔法士特別自治区の平和と安全を守る治安部特務能力科のメンバーと、彼らが通う区立篠崎学園を取り巻く人々を描いたファンタジー小説です
まだ連載では序盤ですが徐々に盛り上げていきます

7月26日に「蒼血のアフェクシオン」より加賀睦樹の誕生日
7月31日に「一村くんは数学的天才ではない」より一村夏目の誕生日
7月イケメンやな!!!!!
そして二人ともド変態やな!!!!!(歓喜の舞)

誕生日が近いのは蒼血より加賀睦樹(かがむつき)
(主に舌で)触れた生物の脳波を掌握する魔法を得意とする
オブラート皆無で下ネタを語るタイプの変態
そしてサディスト&リョナラー
真面目で面倒見のいい人なんだけどね
愛に飢えてます

ショタ睦樹に「おっさんタチ?ネコ?」と気だるげな熱視線で聞かれたさある(僕にしか伝わらないので呟いて供養)

羽鳥拓磨くん
緑の髪いいよねって思い立って若草色の頭しています
対象物の位置を書き換える魔法を使う
照れると怒る
自分が世界最高ランクという自覚が薄く普段はビビリ
しかし戦闘服(ロリィタ服)を着ると別人みたいに強かに冷淡になるよ
彼の秘密は作中で

正木莉那ちゃん
りなたむ、とか、りなりな、とか呼んでる
黒髪ロングのワガママお嬢様気質
不可視の力の網を操る魔法を使う
上司にすら敬語は使わないけれど、北辰の巫女だけは崇拝してる
プライドが強く負けず嫌い
女の子のおっぱいを揉むのが日課(やめなさい

桜井希咲ちゃん
さっちゃんと呼んでるけどまだ連載だと出てきてないのよねん
銀髪美少女。巨乳
ツンツンしてるけど実は寂しいんです
人生をどこか諦めていて、でも諦めきれない。そんな葛藤の中にいます
当代の北辰の巫女
未来のことを思い出すことができる

黒田蜜瑠ちゃん
黒蜜、くろみっちゃんと呼んでる
人間の世界出身の黒髪セミロングJC
どこか虚ろげで大人びている
きっと大変だったんだよね
未来の映像が見える魔法が勝手にたまに起きる
真面目で勉強が好き

泉谷鈴花ちゃん
鈴ちゃんと呼んでます(明後日の更新で出てきます)
ミーハーませてる系JC
恋バナが好物
黒蜜と同じクラスですね
顔を見た人が相手のことをどう思っているか(好感度)分かる魔法を使う
八方美人がキーワード

桜井有希さん
ゆっちゃん、とか、ゆっきーとか呼んでる
本編に出てくるのは来月かな
希咲の母の従弟で、希咲と旦那の馨と暮らしている
旦那のいる男性ですよん
カフェの店長で心に癒しを与える魔法など複数の精神感応系魔法を茶葉に込めることができる

飯田馨さん
かおるん、かおかお、などと呼んでる
ふわふわ金髪のお兄さん、だて眼鏡
拓磨らが所属する特務魔法科の現場運用主任の一人
目を合わせた相手の思考や記憶を読むことができる
一人で頑張りすぎちゃうタイプ
旦那の有希にしか甘えない(可愛い)


2015.07.14

前作より拓磨が若干口が悪くなってて笑う

睦樹の台詞に腹抱えて笑ってる
誰だむっつんをこんなボケキャラにしたやつ(僕です)
ねぇ、今シリアスなの、ギャグじゃないの、おかしいでしょむっつん、何言ってるの

口の悪いカフェ店主(27)×マイペース美術教師(27)
カフェ店主の妹(JK)との3人ぐらし
妹にちっとは気を遣えバカップル
#自創作のカップルを三行で説明する
さっきまで書いてた……楽しい……

人の血を平気で舐めるむっつんですが、彼は自分の免疫機能を魔法で高めまくってますので感染症にはかかりません
エイズ?肝炎?効かぬ効かぬ
(よいこは真似しないでね)


2015.07.17

加賀睦樹くんの愛称は「むっつん」です
僕が勝手に呼んでいるだけで他のキャラクターからは呼ばれていません(
終盤の活躍を楽しみにしてるよむっつん


2015.07.18

羽鳥拓磨(はとりたくま)15歳
・中性的な容姿の女装男子
・世界最高ランクの魔力の持ち主
・だがビビリのツンギレ
ショタ女装可愛いペロペロと言って真っ赤にさせたい。そして怒ってくれ。

桜井希咲(さくらいきさ)15歳
・銀髪むっちり系巨乳美少女
・どんな過去のことも未来のことも覚えている世界を統べる先導者
・責任感が強く自らの魔法を一番恐れているのは彼女
気になる年頃だとは思うがダイエットはしなくていいよ、健康体重よりは軽いから

正木莉那(まさきりな)15歳
・小柄な黒髪ロング少女
・力が欲しいと願ったプライドの人
・お調子者ですぐ変なあだ名を付ける
挨拶におっぱい揉むのやめません?どうせ負けゲフンゲフン

加賀睦樹(かがむつき)17歳
・赤髪メガネ舌ピアス眉ピアス勿論耳も、なお兄さん
・愛が分からないと泣いた元娼夫
・真面目で優しいけれど下ネタストッパーが壊れている
いつも変態とかキャラ盛りすぎとか言ってごめん

黒田蜜瑠(くろだみつる)12歳
・黒髪セミロングの素朴な少女
・魔法とは何かを知りたいと学ぶ人
・感情表現が希薄だけれどすぐ考えちゃうんだよね
くろみっちゃん可愛いよ、可愛いよ、コメントが思い浮かばなかったとかじゃないんだ、うん

泉谷鈴花(いずみやすずか)12歳
・ブラウンのツインテールチビ
・好きな人しか興味がないのに他人からの評価が気になる人
・いつも明るいませてる情報通
中1でも女の子は女の子なんですね……末恐ろしいわ

飯田馨(いいだかおる)27歳
・アルビノな美形お兄さん(眼鏡は伊達)
・目は口ほどに物を言う。しかし口にしなきゃ伝わらないこともある
・普段は美術室に籠って造形している美術教師でもある
旦那にしか甘えられないとか可愛いなお前

桜井有希(さくらいゆき)27歳
・紺の髪にたれ目が特徴のカフェ店長
・愛する人への想いが仕事になった
・希咲の母の従弟でシス(?)コン
接客中に暴言を吐くから固定客しかこないんじゃないの?(暴言)


2015.07.19

ショタむっつんに「おっさんタチ?ネコ?」と気だるげな熱視線で聞かれたい(n回目)
むっつんはなーキャラ盛りすぎだからなー
それくらいの方が書きやすいんだけども
ちゃんとメインで描ける日を楽しみにしている

まとめページ書きながら思ったことを拓磨くんに言ってもらう
拓磨「あのさ、体液なら何でも魔法使えるなら何で血液を銃弾に練り込んだの?」
睦樹「へぇ……お前は俺の精液が練り込まれた銃弾で撃たれたいと思う?」
拓磨「死んでも嫌だキモい」
睦樹「だろ?」

思ったことその2を鈴花に言ってもらう
鈴花「加賀先輩はいつもキスしてるんですか?」
睦樹「そういうわけでもないよ。素手で触れる程度でも病状は分かるから診察できるし、急患じゃなければちょっと出血させて触れれば治療できるから」
鈴花「なんかざんねーん」


2015.07.20

7月26日は蒼血のアフェクシオンより加賀睦樹くんの誕生日なので誕生祭を超個人的に開催します
むっつん好きだよむっつんしたい
もし参加してくださる方がいらっしゃいましたら当日 #加賀睦樹生誕祭2015 をつけてツイートしてくださいね(*‘ω‘ *)祝おうぜ

短編でも書こうかや
誰も祝わなくても僕だけは祝う
それが作者の使命だ


2015.07.21

ゆっちゃんに暴言を吐かせていると幸せ……クソだの死ねだの言わせるの楽しい……接客業なのにな

おかしい、りなたむが乙女すぎる
おセンチなりなたむが美人過ぎて僕つらい

#アンソロ版僕らの世界 の主人公は本編に出てこない(予定の)子だからキャラデザとか考えていなかった……普通の女子高生です、普通の

ゆっちゃんバースデーは今年は見送りかな
だってまだ連載で出てこないんだもん(画面かち割りそうなほど泣いてる)

希咲のキャラ崩壊が激しい……こんな子だっけ
勝手に動くにも程があるから君


2015.07.22

さっちゃんの仮面を剥がしてぐひひひひ(何故か川柳)

実際にテレパシーが使える、人の脳内を覗くことができる人がいる、に対する人間の反応を考える
とても怖いし脅威だと思うよ
あなたの邪な感情も妄想も秘密も、全部知られてしまう恐怖
生々しい美味しい(*‘ω‘ *)ヒャッハー


2015.07.23

同性同士で結婚できるようになった世界だが、それでも同性だからという理由で親に結婚を反対される事案が発生していて楽しい
今後の日本でも起こりうることだ
さー書くぞー(わっくわっく)


2015.07.24

急にスズちゃんを書きたくなった
幼い恋はスズちゃん担当だもんな(*´ω`*)もっと本編に出さねば


2015.07.25

むっつん誕生日おめでとう(*´ω`*)作者なりに祝ってみる
こっぱずかしいけど、おめでとう #加賀睦樹生誕祭2015

むっつんのことを祝ってくださる方がいらっしゃって(´_`。)゙ありがとうございます


2015.07.28

うわぁ……ものすごく狂ったシーンが頭をよぎった
宗教怖いね
「巫女様のお導きならば」という言葉の凶器じみたことよ

なぜ魔法使いたちの最高権力者が巫女なのかというと、神が定めた未来を伝えるのが巫女の役割だからなのですよ
神と巫女との関係をまたじっくり描きたいものだ

魔法使いの国は割りと宗教国家っぽいところがある
たぶん莉那あたりは巫女に死ねと言われたら死ぬと思う

担当さんに相談したら「拓磨カワイソウ(´・ω・`)」との反応をいただけたのでしてやったり

我ながら「蒼血」の世界観が狂気じみていて吐き気をもよおす
とても良い。好き。
人が持つ嫌悪感をイイ感じに煽ってくる

今、女装子流行ってるんだ
へー
よかったじゃん拓磨きゅん流行りだよ


2015.07.30

「蒼血のアフェクシオン」
魔法使いは血が蒼いので蒼血=魔法使い
アフェクシオンは作中の学園が導入している上級生と下級生がペアを組む制度のことで、「愛情」という意味のフランス語が語源
#このツイート見た人は作品名の由来を語ってけ

希咲に13cmヒール履かせたい
有希に心配されろ
そして一部の生徒に「踏んでください」と言われて困惑しろ

希咲「明日「踏んでください」と言われるのだけれどどう返事をしたらいいのかしら。君主が民を踏む?上に立つ者としてどうなのかしら……いや私はただの女子生徒なのだからそんなことは気にせずとも、えっと、学生は踏まれたがるものなのかしら?靴は勿論脱ぐよね?その選択によって未来が変わ文字数」

本編未登場キャラで遊ぶの巻
8月末には出てくるからうん

決して自分の行動を予知しない希咲たん好き


2015.07.31

ゆっちゃんの誕生日小説が思いっきりふざけているのだが犯人はかおるんです僕は悪くない
思いっきりふざけてるのにいい話っぽくなって笑う
ゆっちゃん良かったねぇ

ゆっちゃんぶち切れ案件楽しい


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2015/08/03 (月)
蒼血のアフェクシオン

向日葵のような貴女が好きでした

2015年8月3日現在、登場していないキャラクターなど本編のネタバレ要素を含みます。

 8月の頭。降り注ぐ太陽の陽射しが重く、身体の体温調節が難しくなり呼吸すれば喉が焼けるような猛暑日を連日記録している。まだその殺人的な暑さを感じるお昼過ぎ、夏休みだというのに、治安部特務魔法士の拓磨と莉那と睦樹、そして非公開ではあるがこの街の最高権力者、当代の「北辰の巫女」である希咲の4人は指揮官の馨のいる区立篠崎学園の美術準備室に集められていた。
「目的地まで直線距離1.07キロメートル。障害物無し。ターゲットの心拍を確認。室内に2名います」
「羽鳥くん、ありがとう。私もターゲットの視覚から目的地にいることを確認しました。もう1人も仲間だから問題なし、っと」
 絵の具の匂いが熱で噎せるような室内で、並外れた聴力で広範囲の地形や位置を完全に把握できる拓磨と、名前と顔が分かる人物の視覚と共有することができる馨が今回の任務の対象位置を確認する。
 今回の任務を提案したのは指揮官である馨ではなく、長い黒髪を自らの魔法で持ち上げて団扇でうなじを扇いでいる少女、正木莉那であった。
「いい感じね。しっかし、暑いわね。かおかお、この部屋の冷房ちゃんと動いているの?」
「私は冷房が苦手なもので」
 食えない笑顔で返すこの部屋の主である馨に莉那は「そのうち熱中症でマーライオンになっても知らないわよ」と返して続けた。
「今回の任務はとっても重要なの。だから皆、気を引き締めていきましょう。例のアレはむっつん、用意できているかしら」
「まぁ、一応。技術科のクラスメイトに頼んで作ってもらった。ていうか、本当にやるのか?」
 睦樹は呆れ顔で鮮やかな黄色のこぶし大のボールを莉那に渡した。
「そりゃあもうやるわよ。大事な任務ですもの。ね、かおかお?」
「はい、大事な任務ですよ」
 この2人が手を組むのは嫌な予感しかしない、と睦樹は拓磨に話しかける。しかし拓磨は任務だという「スイッチ」が入っているのか真剣な顔で馨と莉那の話を聞いていた。拓磨まで取り込まれてしまったら今回の任務は遂行されてしまうのだろう。
 一方、希咲は額に手を当てて呆れかえっていた。
「貴方たちバカなの?」
「いいじゃないの、希咲たん。希咲がやれと言ってくれたら私たちは正式な任務として動けるのよ?」
 それを職権乱用と言います。
 しかし今回の任務の内容は希咲とは切っても切れないものだけに希咲も断りづらく、結局ついてくるだけついてきてしまった。
「はぁ……別に大きく未来は変わらないから好きにしなさい」
「やったね! 希咲たん大好き! というわけで、オペレーション『バースデー』開始よ!」


 冷房の利いた店のカウンターで暖かい紅茶を飲むことは、俺はとっても贅沢なことだと思う。今日はアッサムティーにしてみた。砂糖は少し多めがいい。店内の木の香りとマッチして鼻腔を柔らかく刺激する。自動演奏のピアノが心地よいメロディを奏で、まるでオルゴールのように何度もそのフレーズを繰り返した。
 店内には店長の俺とバイトの店員が1人だけだから、特にすることもなく店の大通りとは逆側にある中庭の草木をぼんやりと眺めていた。こんなに暑いと弱い花たちはしぼんでしまって可哀想だけれど、真っ直ぐ太陽に向かって咲き誇る向日葵が微笑んでいるようで僕は懐かしい気持ちになる。
 あの人は向日葵みたいな人だったな……とカップに目を落とすと、黄色い花弁がひとひら浮かんでいた。どこから入り込んだのかと店内を見回すと、突如、何かが弾けるように天井から向日葵の花弁が吹雪のように降り注いだ。驚いて立ち上がると花弁たちは俺を包むように舞い上がり、鮮やかな黄色が目に焼き付く。これは……と困惑するが、きっと、アイツらの仕業だ。
「有希さん、ハッピーバースデー!」
 想定通りのアイツらが花吹雪の中から店の板張りの床に降り立つ。色とりどりの頭をしたアイツらが。
「おう、お前ら……営業妨害だ! 今すぐ片付けろ、クソガキ共!」
 向日葵の花びらが足首まで降り積もった店内で有希は怒号をあげた。

「ゆっちゃん、ごめんってばー」
「うるせえ、片付けたら帰れクソガキ」
「痛っ」
 首謀者の莉那の頭にちりとりを投げつけて、有希は箒で床に積もった花びらを集めて袋にまとめていた。
「折角のバースデーサプライズなのにー」
「サプライズ? どう見てもテロだろ。おい馨、お前のとこのガキ共はどうなっているんだ」
「見ての通り優秀ですよ? 加賀くんが用意した爆弾を羽鳥くんが的確な位置に送り、正木さんが絶妙なタイミングで起爆させる。その裏で羽鳥くんが全員を店内に輸送。いい連係プレイでは?」
 窓枠やピアノの上に引っかかったものをはたきで落としながら有希の夫の馨は答える。
「馨、俺の店は殲滅対象なのか?」
「有希の涙腺が対象です」
「ああ、店を荒らされて泣きそうだよ」
 バイトの男の子がゴミ袋を出してくれるがすぐにいっぱいになる。睦樹と希咲も呆れながら手伝い、パンパンになった黄色いゴミ袋は拓磨の移動魔法で中庭に積み上げた。なんとか片付けることができたのは日が傾き始めたころだった。

「改めまして、桜井有希さん、誕生日おめでとうございます」
 カウンターに莉那たち5人が横並びに座り、祝いの言葉を口にした。
「だから帰れと言っただろお前ら」
「いいじゃないの、他のお客さんいないのだから」
 反省の色を見せない莉那の言葉に、同じく反省をしていない馨が「いつもいませんけどね」と付け足す。
「お兄ちゃん、ケーキあるのでしょう?」
 見かねた希咲が助け舟を出す。喫茶店なのだからケーキくらいある、ではなく希咲が意味しているのは「もうすぐケーキができる」ということだ。
「おう、バイトくんが頑張ってくれてな。希咲が教えてくれた例のレシピのケーキの試作品を今日作っているんだよ」
「マスター、出来ました」
 丁度いいタイミングで、ここでバイトをしている男の子がホールケーキを持って奥の厨房から出てきた。有希が「みんなに見せてやれ」と言ってホールのままカウンターの真ん中に運ばせる。
「綺麗だな」
「わぁあ、バイトくんすごい!」
 白いムース生地の上に瑞々しい薄紅色の花が咲いていた。スライスされた桃のコンポートを重ねてケーキひとつが大きな桃の花になっている。息を吸えば、甘みを含んだ酸味と、芳しい桃の香りが胸いっぱいに広がった。
「桃のヨーグルトムースケーキだ。今が旬の桃をたっぷり使ったタルト風ケーキだよ」
 懐かしいわね、と希咲が頬を緩ませる。
「ゆっちゃん、桃好きなの?」
 莉那が意外そうに尋ねる。
「まぁな。菜貴(なき)さんが誕生日に作ってくれていたんだよ」
「菜貴さんって?」
「希咲の母だ。詳しく話したこと無かったか?」
「あまり話さないじゃない」
 さて、話し過ぎたと有希はこめかみを掻いた。うっかり彼女の名前を出してしまったが、丁度彼女のことを思い出していたところだ。話してしまいたい欲望に駆られる。
「よし、話すから一杯茶を注文しろよ」
 今日くらいいいか、と有希は諦めた。

 カウンターの全員の前にそれぞれの紅茶と切り分けられた桃のケーキが並べられた。またいつもの如く各々が違う紅茶を注文するものだから時間がかかってしまったと有希は悪態を吐く。
「じゃあ、話すぞ。そこの写真を見てくれ」
 カウンターの一番壁際の席の端に置かれた、手のひらほどの大きさの写真立てを有希は指さした。
「そこに写っている銀髪の女性が菜貴さんだ。抱かれている赤ん坊が希咲で、横に立っているのが俺」
「希咲にそっくりですね」
 ずっと黙っていた拓磨が呟く。
「おう、美人だろ? 俺は中学1年生まで外で両親と暮らしていたんだ。でも親共は交通事故であっけなく死んだ。『蒼血』の俺のことなんて『緋族』の親戚は誰も引き取ろうとしなかった。人をゴミ虫みたいに扱って笑えたよ。でもこの街で暮らしていた菜貴さんが俺のことを引き取ると申し出てくれてな。それから一緒に暮らしてたんだよ」
 有希は簡潔に話す。それでもヨーグルトの酸味が胸に刺さった。
「菜貴さんは料理がうまくてさ、1人で俺たちのことを養いながら色んなものを作ってくれたよ。そのうちのひとつがこの桃のケーキさ」
 両親が死んで最初に迎えた誕生日に食べたのがこの桃のケーキだった。糞みたいな親に育てられていたせいか、祝われることに慣れていなくて恥ずかしくて仕方なかった、と有希は苦笑した。
「それで菜貴さんは俺が篠崎学園を卒業して数年後に病死した。それだけのお話さ」
 それだけ、の一言に、俺はたくさんのものを隠した。きっと話したら俺は悲しみとやるせなさに泣き出してしまいそうだったから。
「さあ、食ったら帰れよ? ケーキは試作品だからおまけしてやる」
 なんで話してしまったのだろう。きっと向日葵の黄色と桃の香り、それとこの夏の暑さに酔ったのだろうな。

 あれからなんやかんやと話してから莉那と拓磨と睦樹を送り出したのはもう日が暮れた頃だった。誕生日祝いだと言って莉那からは向日葵柄のハンカチ、睦樹からはアルバムの台紙。拓磨からは新しい魔法ペンを貰った。ちゃんと用意しているのならなんで向日葵テロをしたんだ、と思い出しても呆れる。どうやら馨が、俺が向日葵好きだと話したせいで莉那が思いついたらしい。あのおてんば娘を止めてくれる人が誰もいなかったのはどうなんだと馨にもう一度詰め寄っておこう。
 いつもならば夜のバー営業もするのだが、誕生日だからゆっくりしたいという馨の要望によって今日はドアにかけられた看板を「close」にひっくり返した。
 食器を洗って片づけをしていると、馨に後ろから抱きしめられた。
「菜貴さんのこと、ツラくなかったですか?」
「もしかして、妬いてる?」
 茶化してみるが、馨は強く抱きしめたままだった。
「菜貴さんのこと話せる日が来るとは思いませんでした」
「俺もビックリしてる……好き、だった。大好きだった」
 握ったグラスを下ろして、有希は震える声で呟いた。
「有希が菜貴さんの死と向き合おうとしていることは分かります。菜貴さんが好きだった向日葵を植えたのも、希咲に菜貴の記憶からレシピを聞き出すのも。でも、焦って自らを傷つけようとしている有希を見るのは苦しい」
 有希の頬を一筋の涙が伝った。
 話したら自分が壊れてしまいそうだった。それでも、向き合いたいと有希は願った。
 大好きだった。母としてではなく、1人の女性として。でも幼すぎるその想いは届くことはなかった。菜貴さんは母として俺のことを愛してくれた。
「馨、傍に居ろよ」
「はい、私はここにいます」

 夕食をゆっくりと3人で食べて、希咲に今後1年を占ってもらった。魔法使いたちは誕生日に占い師に1年の運勢を占ってもらうのが慣習となっている。北辰の巫女直々に占っていただけるのは俺たちぐらいしかいないのだろうけれど。
「桜井有希。この1年は愛する者を見失わないようにしなさい。大切なものは何か、今一度見つめ直しなさい。さすれば自ずと道は開けます」
「ありがたき幸せです巫女様……希咲、ありがと」
 有希は自問する。夫である馨のことも、遠縁ではあるが妹として育った希咲のことも愛している。それでも、

――――向日葵のような貴女が好きでした。


こんばんは、佐倉です。お読みいただきありがとうございました。
ゆっちゃんこと桜井有希の誕生日になりました(*´ω`)わぁい
本編未登場キャラの誕生日を祝う暴挙をお許しください。明後日くらいに出てきますのでお楽しみに。
本編がだいぶ進んで夏ごろの設定で書きました。色々ネタバレしてるので本編が進んでからもう一度読んでみるといいかもしれません。
Twitterでのコメントもお待ちしております。ハッシュタグ「#桜井有希生誕祭2015」をお忘れなく!

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2015/08/03 (月)
蒼血のアフェクシオン

コメント返信1件 一村夏目生誕祭 プチイベント2件

こんにちは、佐倉愛斗です。暑い日が続いておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか?
僕は本日、これから吹奏楽コンクールに出場します。この夏の集大成を観客に披露しますよ。こうして大きな舞台で演奏できることが幸せです。

それではお知らせです。


コメント返信

08/02 野津征亨さま

いつも暖かいコメントをありがとうございます。
こうして拍手コメントをいただくことが創作を続ける力となっています。
自分のペースで書いていますが、どうぞお付き合いいただけると嬉しいです。
野津さまもこの気候ですのでご自愛くださいね。


一村夏目生誕祭2015

生誕祭にコメントを寄せてくださった皆様、本当にありがとうございました!
嬉しいものですね……僕は幸せ者です。
一村くんシリーズは過去に少し書いただけで休止していましたが、再び書くことができてとても楽しかったです。
一村くんはこんな子なんだよ、ということが少しでも伝われば幸いです。
また今月から「一村くんは数学的天才ではない」の新連載を始めますので、この機会に読んでみてくださいね。
初回は8月4日。毎週火曜21時更新です。


プチイベント2件

7月末から8月頭にかけて怒涛の誕生日ラッシュです。固まりすぎだろ、と自分に突っ込んでいます。
本編の原稿をやりつつ、普段焦点を当てないキャラクターのお話を書くことができてとても楽しいです。

08/03 桜井有希生誕祭2015

蒼血のアフェクシオン」より、毒舌カフェ店長の桜井有希の誕生日です。
まだ本編未登場なので誰それ状態ですよね……はい、僕が書きたいだけです。
未登場キャラ、しかも脇役。という彼ですが、僕は「ゆっちゃん」と呼んで可愛がっております。
ネタバレたっぷりな短編を投稿する予定ですので興味のある方は覗いてやってください。
本編が進んでから読んだ方がいいかもしれない、とだけ告知しておきますね。
感想及びお祝いのコメントはいつも通りTwitterで受け付けます。ハッシュタグは「#桜井有希生誕祭2015」です.。


08/06 酒本渚生誕祭2015

こちらは企画「STAR SPECTACLE」に登場するドルヲタ大学生の酒本渚の誕生日です。
彼は僕の処女作「青嵐吹くときに君は微笑む」(サイト未掲載)の主人公の先輩にあたる人でもあります。
こちらも短編を投稿する予定ですので一緒に楽しんでいただけると嬉しいです。
お祝いのコメントは勿論、ファンアートや渚が登場する作品などもゆるーく募集しています。どうぞ祝ってやってくださいね。
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2015/08/02 (日)
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