名古屋コミティア48に参加します

こんばんは、佐倉愛斗です。
前々からお知らせはしておりましたが、この度、名古屋コミティア48にサークル参加します。
初めてのイベントだぜいえええええい、なわけですが緊張もしております。
ちゃんと売れるのかなドキドキ、なわけでございます。

それではお品書きです。
名古屋コミティア48お品書き
スペースはD-11。初参加なのでどれでも新刊です。
この他に新刊とサイト掲載作品が試し読みできる無料配布冊子「君に注ぐ」とLGBTアンソロジー「prism」のフライヤーを置いています。
無料配布物だけでもええんやで←

注意書き

  • なるべくおつりの出ないように用意をお願いいたします。イベント開始直後の高額紙幣はお断りすることがあります。
  • R指定の「vanilla」をお渡しする際に年齢確認をいたしますので免許証や学生書などの身分証明書をご持参ください。
  • 絵は描けないので居ないとは思いますがスケブはお断りします。買ってくださった頒布物へのサインはOKです。
  • 席を外すことがあります。Twitterにて随時情報を流しますのでご確認ください。

当日は僕、佐倉とカメキチの二人でスペースにいます。
おそらく僕はいつものごとくロリィタしていると思うので見つけたら是非お声がけください。

それではまだまだ作業は残っておりますが、今週末に向けて頑張りますのでよろしくお願いいたします。
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2016/03/28 (月)
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vanilla 16(完)

 今日は泊まっていきな、と北原は理由も聞かずにお湯を注いだカップラーメンと使い捨てのフォークを渡した。いつでも薄暗いこのアパートではいつ日が昇っていつ日が沈むのか分からなかった。蛍光灯に照らされた自らの足を見る。倒れたときについたであろう都会のヘドロが真っ白な肌を汚して扇情的だと愛実は口角をあげた。都会の汚れなんて忘れていたのに。
 久しぶりのカップラーメンは塩味ばかりで美味しさなんて感じなかった。萩野さんの味噌汁の方がずっと美味しい。でも、もう食べることもないのかもしれない。出尽くしていたと思っていた涙がまた溢れてくる。北原は黙って、それを見つめていた。

「北原さん、あのね」
 ベッドで二人、横になって愛実は切り出した。
「僕はね、愛なんていらないと嘘をついていた。いや、本当だったかもしれない。北原さんに見放されることが怖かった。道具でいることで捨てられても平気だと思いたかっただけだった。でも北原さんから僕を引き離した真琴のことも恨んでしまった。僕は道具になりきれなかったんだ」
 北原は愛実の手をこわごわ握った。愛実は迷わず握り返す。
「真琴のことを最初は立派な人だと思っていたけれど違った。僕と同じ、未完成で不器用な人だった。そして僕に優しさを教えてくれたんだ」
 そうか、と北原は天井の蛍光灯を見つめた。
「シャル――愛実は真琴のところには帰らないのか?」
「帰れないよ。あんな素晴らしくて将来もあって跡継ぎが必要な人のところに僕なんて居たらいけないんだ」
「居てほしくないと真琴に言われたのか?」
 愛実は唇を強く噛んで、ゆっくりと横に首を振った。
「じゃあ傍に居てもいいか本人に訊くんだな」
 愛実は返事ができなかった。自ら出てきたのに、帰ってくるなと言われることが恐ろしくてたまらなかった。

 翌朝、まだ日の光が低く鋭い時間にインターホンが鳴った。せかすように何度も鳴らされたそれに愛実は目を覚ます。北原は小さく明るい舌打ちをすると、お迎えだ、と愛実の額にキスをした。
「ったく、お前は朝が早すぎるんだよ」
 スチールのドアを北原が開けると、息を切らした引田と、目の下を泣き腫らした萩野の姿があった。愛実が駆け寄ると、引田はそれを受け止め「よかった、よかった」と力強く抱いた。あばらの痛みに愛実が身体をこわばらせると引田は力を緩めた。
「怪我をしているのかい?」
「ああ、お前のせいで俺の大事な息子が不良に絡まれてあばらをぽっきりとな」
 北原が代わりに答えると、萩野が大声で「申し訳ございません」と頭を下げた。
「僕のせいでシャル様に怪我を……僕があんなことを言うから」
 ぼろぼろと涙を零す萩野を愛実はゆっくりと抱きしめた。
「出ていったのは僕の勝手だよ。萩野さん」
「でも、僕が酷いことを言うものだから、ごめんなさい。ごめんなさい」
 どうしたんだ、こいつは、と北原は訊ねるが、ずっとこの様子で口を割らないんだと引田は答えた。
「真琴、僕は真琴との子供は産めない。料理も洗濯も何もできない。それでも、僕は真琴と一緒に居ていい?」
 引田はまっすぐ愛実を見つめ、手を取る。
「もちろんだ。ずっと傍にいてくれ」
 視界が歪む。安堵感に熱いものがあふれて、愛実は引田に抱きよった。
「ったく、お前ら玄関先で煩いんだよ。済んだならさっそと帰れ」
 北原は喜びを隠すように愛実の背中を押す。振り向いて、愛実は問う。
「北原さん……お父さん、また帰ってきていい?」
「……ああ、いつでも帰ってこい」
 愚かな二人の男によって翻弄されたシャルと呼ばれた少年は、やっと止まり木を見つける。バニラは甘い香りがするが、無味だ。そう自らを卑下した少年は、求められる喜びを知った。
「ありがとう。みんな」

「愛実さま、あとは僕がやりますから。まだお怪我も治っていないのに」
 大丈夫大丈夫、と愛実は萩野が止めるのも気にせず、洗い上がった衣服の籠を運んでいた。あれから萩野は引田邸を去ろうとした。しかし愛実は、
「自分の思いを言わずにいるのは苦しいよ」
 そう萩野に宣戦布告をした。
「愛実さま、僕、負けませんからね」
「真琴は僕のだけどね」
 顔を見合わせた二人は悪だくみをするように笑い合った。
 洗濯物をリビングで畳んでいると、窓から吹いた風が石鹸の香りをあおる。
「何やら仲良しだね」
 リビングに顔を出した引田は微笑む。
「真琴、プリン食べたい」
「そうか、では買ってくるとするか」
「いけません旦那様、それは僕が」
 慌てて制止する萩野に、それじゃあ、と車のキーを渡す。
「真琴、好きだよ」
 暖かな日の光を写すカーテンが風に揺れる。
 二人はそっと唇を合わせると、甘い熱視線を絡ませ合った。



お読み頂きありがとうございます。
ギリギリでしたが最後まで完走することができました!初めての長編でしたが後悔も反省もたくさんあります。これでよかったのかと悩むことも多いです。でもそれが成長なのだと信じて、今は自分にお疲れさまと言いたいです。
ここまで読んでくださった方々、応援の拍手をくださった方々、本当にありがとうございました!

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2016/03/08 (火)
vanilla

vanilla 15

 北原さんが、僕のお父さん? 愛実は息を止めた。揺れる瞳で見つめる愛実の髪を撫でると、北原はゆっくりと語り始めた。
「俺が高校二年のとき、当時付き合っていた一つ下の彼女が孕んじまった。避妊の知識も、中絶の金どころか存在すら知らなかった馬鹿者だった。誰にも言えなかった彼女は学校のトイレでお前を産んだ。それがお前だ」
 愛実の心臓が早鐘を打っていた。そして同時に、北原と暮らす前の記憶の断片を頭によぎった。たくさんの白い板と、真っ黒で吸い込まれそうなカメラのレンズだ。
「彼女――お前の母親はお前を育てる金を得るために高校を中退して水商売をし、そしてAV女優になった。その頃には俺との付き合いはなく、人から聞いたことしか知らない。それでな、お前の母親は幼いお前のポルノ画像を海外のマニアに向けて売っていたそうだ。タトゥーを入れたのもその頃だと聞いた」
 少しだけ覚えているよ、と愛実は答えた。服を着ていないのが当たり前だった。打ちっぱなしのコンクリートの上で股を開いてカメラに幼いペニスを見せつけていた。ランドセルを背負った子供たちがマンションの外を歩いている姿が不思議でならなかった。断片的な記憶が北原の言葉によって浮かんでくる。
「それでお前が十二歳のとき、お前の母親は死んだ。昔から手を出していた麻薬の中毒の末、自ら命を絶った。なんとも馬鹿な母親だな」
 自嘲するように北原は笑った。
「母親が死んで、お前は俺のところにやってきた。初めて来たときのことを覚えているか? お前、俺にキスしたと思ったらちんこ揉んだんだぜ? 俺にはお前の親になる自信はなかった。だから、お前をショーに出した。母親に仕込まれただけだと知っていても、天賦の娼夫だと思ってしまった。それしか、俺にお前を生かす方法はなかったんだ」
 愛実の手を握る力が強まる。長い前髪で見えなかったが、声が熱を持って潤んでいた。
「じゃあ何で、僕を商品と呼んだの」
 シャルは天井を見つめたまま訊く。
「俺達には計画があったんだ。お前を人間にするための」
 愚かな俺達にしかできない計画だ、と北原は笑った。
「真琴と俺は高校で知り合ったダチだ。真琴は高校のときにはすでに実家の会社を継ぐことが決まっていた金持ちだ。お前を引き取ると決まったとき、俺は真っ先に真琴に連絡をした。助けてほしいとな。それで時期が来たらお前を真琴が引き取って育てることになったんだよ。金があれば知らない人とセックスしなくていい。たらふく好きなものが食べられる。学校にだって行ける。何度も何度も頼み込んで、やっとその日が来た。真琴がお前に惚れちまったのは計画外だったがな」
 一呼吸おいて、北原は言う。
「お前と離れることが苦しくならないよう、俺はお前をモノとして扱った。お前は売られたことも買われたこともない。それだけは事実だ」
 愛実は痛む身体を起こして、北原の背中で泣いた。今までの苦しみや葛藤は何だったのか、分からなくなってしまった。ただ分からないまま涙が流れる。
「愛実、馬鹿な父親でごめんな。俺はお前を愛してやれなかった」
「酷いよ、北原さん。今更そんなこと言わないでよ」
 僕は大好きだった、と北原の背で涙をぬぐった。



お読み頂きありがとうございます。
北原さんのことを思うとつらくなる作者です。
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2016/03/01 (火)
vanilla

覆面企画作家7を終えて

 僕は中学三年間と高校では二年間、女子の制服で学校に通いました。
 キモチワルイという言葉が恐ろしく、僕はひたすら美しくなることを目指しました。
 男子からの劣情も、女子からの嫉妬も、捻くれていた僕には快感で、『美しくなかったら生きている意味はない』と幼い僕は僕を追い詰めたのです。
 僕には、三好アキナの川本先生ように頼れる大人はいませんでした。
 父は無関心。母は知ったような口をきく。弟には変態と呼ばれ、それでも僕の「性」は僕の物でしかありませんでした。
 自らにかけた呪いを解く方法を僕は知りません。「自分を許さないでどうする」と言ってくれた人はいません。
 僕は僕のままで生きていきます。名前のない、僕という色で。



改めまして、こんばんは。佐倉愛斗です。
覆面作家企画7お疲れさまでした。
誰にも迷われることなくF02です。一人くらい迷ってもいいのにと口をとがらせて笑ってみます。
「自己紹介のつもりで書きました」と書いて本当に自己紹介小説を書く馬鹿者がこちらになります。ええ、脚色80%くらいです。

「光」と聞いて真っ先に光学のテキストを開きました。するとプリズムの図があったのです。
LGBTのことを「グラデーションの性」と虹をモチーフに表現することがあります。なら書いてみよう、というわけです。
しかし、虹色っても6色とか7色とか数えるじゃないか。ゲイだとかレズビアンだとかGIDだとか、そうやって名前をつけるじゃないか。
僕は厳密には性同一性障害とは違います。しかしトランスジェンダーではあります。この「名前のない」性を生きている人はたくさんいるのです。
そんな思いをこめて書いてみました。

僕は今日、今まで長く伸ばした髪を切りました。
アキナのように誰かによってではなく、自分の意思で。
この小説を書いたことで、僕は僕のことを許せたのかもしれません。

次回は隠れる気満々です。といっても今回初参加で探偵さんの素晴らしい技術を知ってしまったのできっと逃げ切ることは難しいでしょう。
たくさんの感想ありがとうございました。僕も感想書けたらよかったのに……これもまた次回のお楽しみですね。
それでは主催者様、探偵様、参加者様、本当にありがとうございました。
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2016/03/01 (火)
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