140字SS 066~070

066 ハリウッド

 美しい俳優たちが集うきらびやかな世界。
 僕が憧れたのは10歳のときだった。
 演じることで人を感動させたいと願っていたのに、20歳になった今、僕は輝く世界の端で下積み生活をしている。
 悔しい。有名になりたい。そんな欲望に呑まれぬように僕は健気な心を演じている。
 カメラよ心までは撮さないで。




067 咲き誇る

 父が死んだ。
 その日はあっけなくやって来るもので、誰もが順番に経験するものだ。
 母は目を覚まさない父の頬に涙を落とすと、振り返って私に見たことのないほどかなしく微笑んだ。
 棺桶に飾られたどの花より美しく咲き誇る母の笑顔。
 父が君のお母さんに一目惚れをしたんだと教えてくれた日を思い出した。




068 仕立屋

「私を偽るドレスを仕立てて欲しい」
 そうか細い声で依頼したのは、少女のように髪を伸ばした少年だった。
 偽るのならばその膨らまない胸に綿を詰めましょう。筋肉質な肩を隠す膨らんだ袖にしましょう。
 少年は少女の瞳をキラキラさせた。
 なりたいあなたに仕上げるのが、私たち仕立て屋の仕事ですから。




069 進撃のカエル

 人類はカエルによって滅ぼされた。
 筋肉の電気反応実験や精々食用、ほかは田畑でケロケロ鳴いていただけのはずのカエルにだ。
 カエルが人類に成り代わり世界を征服するようになり、ハエやコオロギの絶滅が嘆かれるようになるが、嘆く人類はもういない。
 無法地帯と化した地球環境の変遷は如何に。




070 人類覇者は愛をこう

 人類覇者は愛をこう。
 彼は幼馴染みに招待されて結婚式に参列した。小さな教会とみすぼらしいパーティー会場。彼にしてみれば粗末な式だった。
 それでも何故だろう、どれだけ金と権力を持っていても幸せそうな幼馴染みには敵わない。どうしたらそんなに笑えるのだろう。
 愛する人はどうしたら買えますか。







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