短歌 031~040

031 「愛がほしい」泣き叫ぶほどに求むのは愛とは何かと知っているから

032 庭先に青い紫陽花咲きにけり私の涙はアルカリ性だ

033 愛求め喘ぐ蝉を片耳に今日も筆を執っています

034 早起きは三文の得といふけれど珈琲代は三文以上か

035 好きだった人ほど深く憎むのはそれほど彼を知っているから

036 英単語意味は分かれど読めはせずそうして私は口を閉ざす

037 「帰りたい」渇望すれど故郷はもうどこなのか分からなくなり

038 病棟の一人部屋でさらさらとシャープペンシル走る音だけ

039 姫百合の乙女たちはいつの日か居酒屋に集いカシオレをまず

040 口数の少ない父はただ一つ鼻腔音で返事するだけ