140字SS 001~005

001 誘い

デートの帰り道、離れるのが寂しいと思っていると彼に後ろから抱き締められる
「大丈夫、明日も会えるから」
うん、とうつむく私に
「それとも今日は帰らない?」
そんな甘い誘いに乗れたらどんなに幸せだろう




002 褒美

夕闇の階段、私は彼に追い詰められる
「ねぇ、どうしてほしいの?」
その言葉を刻む潤んだ唇から目を離せない
「言わないと何もしてあげないよ」
か細い声で「キス……して」
「よく言えました」と降り注ぐのは情熱的で甘い口付け




003 微睡

昼寝をして起きると目の前には穏やかに眠る彼の顔
長い睫毛が夕日できらきらと輝いている
悪戯心で唇を重ねると眉間に皺が寄りだらしない声
面白くなって舌で唇を割ってみると目を覚ました彼が私に覆い被さる
「我慢できなくなっちゃった。どうしてくれるの?」
いつもより低い声に心臓が捕まれる




004 存在の影響

一人で入るお風呂が心持ち広く感じる
一人の食事でテレビの音だけが虚空に響く
一人のベッドがひんやりと冷たい
こんなにも貴方の存在が大きくなっているのよ




005 飲み込んだ我儘

柔らかな日差しの中、目覚めると既に着替えた彼が微笑みかける
「んじゃ、朝練あるから」
くしゃりと頭を撫でた彼の足音が遠ざかる
ベッドに残された残り香と体温を求めて布団を抱き締めた
行かないで、なんてわがままを飲み込んで




ランキング参加中です
にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ