140字SS 031~035

031 忙

隣に居てくれるだけでいい
そう彼女はつぶやいたけれど、愛する人は多忙で会うこともままならなかった
寂しくて寂しくて涙も出ない
そう彼女は心を亡くして笑ったんだ



032 地球船

私たちは地球という船に乗って、光が降り注ぐ世界から雄大な闇に包まれた世界に移動する。
そこは光で隠された「過去」を小さな星たちの輝きが教えてくれる。
未来を見つめる世界から、過去に思いを馳せる世界へ。私たちは毎日廻るのだ。



033 星空

夜空の遠く遠くを見つめると、過去の光が見える
私の目に届くのは遥か昔の光
なんとロマンティックなのだろう
そこにはもう存在しないかもしれない星の輝きの美しさに私は今日も思いを馳せる



034 ほこり

土と誇りに遮られて僕は孤独になる
傲慢に気高く孤高の人となる
そして塔の上で寂しさに酔うんだ
ちっぽけな自尊心に打ち勝つ術を僕はまだ知らない



035 与えるもの、受け取るもの

口が寂しくて自分の二の腕を噛んでいた
与えられるものは人肌の柔らかさと安心感なのに、僕が与えるものは湿り気と痛みだった
僕の真っ白な二の腕には赤く歯形が残っている
僕は傷付けることしかできないのだろうか、と暫し嘆く
だが恋人は二の腕ではない
口と口を合わせる意味を僕は再認識した






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