蒼血のアフェクシオン Chapter01 魔法の学園 11

「そう、なら数日中にでも予知部に寄るわ。今後も魔法士を狙ったテロ行為を起こす」
「希咲は仕事熱心ですねぇ」と馨は希咲の頭をくしゃりと撫でた。希咲は頬を染めて笑った。
 丁度、始業式を終えた生徒の足音が拓磨の耳に届いた。
「主任、始業式終わりました」
「おやおや、結局サボってしまいましたね。今日のところは任務で招集していたことにしておいてあげますね」
 泣き崩れていた莉那は、かおかおサンキュー、といつもの自分を取り繕うように言った。
「さあ、次は魔力審査と能力テストですよ。行ってらっしゃい」
 拓磨ら生徒は馨のいる美術準備室を後にした。

 魔力審査は複数の教室に設置されたブースで行われる。しかし、黄緑、赤、とやたら目立つ頭のせいで他の生徒の注目を集めてしまう。特務魔法士として活躍する彼らは学園どころか街中の人々に知られており、そのあまりにも強力な魔力から畏れられることも多かった。日本人に多い黒髪の莉那も目立ちはしないが、彼女の存在感は禍々しいものを感じる。
 そして、今日からはその中に銀髪の希咲が加わるのだ。誰もが敬愛する北辰の巫女。整った顔立ちに大きな翡翠色の瞳は見た者が感激し、涙を零すほど美しい。特務魔法士に囲まれている初めて見かける少女の存在に、他の生徒はどうしても目が行ってしまうようだ。

「希咲……さん。目立っていますね。髪、染めたりなんかしないんですか?」
 廊下を進みながら莉那が小声で話しかける。
「希咲でいいわよ、莉那。そうね、染めようと思ったことは無いわ。ありのままの私でいいじゃない?」
「そ、そうですけど、目立っています」
「目立つことには慣れているわ」
「そ、そうですか」
 的を射ない返答に苦笑するしかできなかった。

「ここなら空いているな」
 睦樹が見つけたブースで四人一緒に魔力検査を受けることにした。
 各々ブレザーを脱いでワイシャツの袖をめくる
「お、大きい……」
「どこ見てるのよ、莉那」
「な、なんでもございません」
 莉那は慌てて視線を逸らした。
 ブレザー越しではあまり目立ってはいなかったが、希咲の胸部の膨らみは、それはもう殺人的だった。隠そうと腕で覆うのだが、腕が食いこんで溢れた膨らみがまた柔らかそうで隠し切れていない。抱き付いたら窒息間違いなしだろう。
「莉那は希咲に分けてもらったらどうだ?」
 睦樹が揶揄すると莉那は顔を真っ赤にして睦樹をぽかぽか叩いていた。怒っているのか照れているのか、そんないつもの光景に拓磨は安心していた。

「ひぃっ……」
 細い針が皮膚を裂く感覚に拓磨は顔を引きつらせた。
「はーさん、いい加減慣れなさいよ。はーさん、いつも任務で見てるんでしょ」
 そんなことを言われても小型の注射器にたまる血液なんて恐ろしくて見ることができない。背筋に冷たいものが流れるようで気持ち悪くてしょうがなかった。血を見るのは苦手だ。ちらりと振り返ると深い藍色の液体が注射器に溜まっていた。これが自分の中を流れているなんて拓磨は想像もしたくなかった。
 採取した血液を検査用紙に垂らすと、いつもの如く「7」という文字が蒼い血のインクによって浮かび上がる。いつもの、見慣れた数値だ。拓磨自身はもう見慣れたものとなったが、背後に並ぶギャラリーにとっては畏怖の存在であろう。拓磨は心底どうでもよいのだが、検査のプライバシーはもう少しならないものかと苦笑した。


こんばんは、佐倉です。お読みいただきありがとうございました。
人を殺める任務をこなす拓磨が血が苦手というところが作者的にツボです。この先の物語の鍵になる……かも?
読みましたのサインに是非とも拍手のほどよろしくお願いいたします。

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